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東北に出現“ナゾの193cm剛腕”は何者か?「どこで情報仕入れたんですか…」練習試合に栗山英樹の姿「衝撃のフォーム」「仙台育英からプロ志望」 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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posted2024/05/11 06:00

東北に出現“ナゾの193cm剛腕”は何者か?「どこで情報仕入れたんですか…」練習試合に栗山英樹の姿「衝撃のフォーム」「仙台育英からプロ志望」<Number Web> photograph by Takahiro Kikuchi

仙台育英に現れた“ナゾの193cm高校生”…山口廉王は何者か?

 さらに、須江監督から「内面的な幼さがある」と指摘を受け、学生コーチを兼任するようになった。山口は平日練習のスケジュール決めや来客対応などの仕事をこなすなかで、心境の変化が生まれたという。

「自分以外の人のことを見ておかないと仕事ができないので、周りを見られるようになりました。今にして思えば、今までの自分は自己満足でピッチングをしていたんだなと感じます。自分が抑えれば、あとは他の人がやってくれるだろうという甘さがありました」

 肉体的にも技術的にも一回り大きくなり、山口は今春に開花の時を迎えようとしている。

 4月27日の春季宮城大会一次予選の仙台商戦では、仙台市民球場のスピードガンに「154キロ」の数値を表示させた。だが、同球場のスピードガンはかねてより誤差の大きさが指摘されており、山口は「最速にカウントしていません」と笑う。それでも、山口の成長具合を見る限り、実際に154キロを計測するのも時間の問題だろう。

「高卒プロ志望」を明言

 須江監督も山口の素材を高く評価している。

「パワー系なのに、変化球でもあまり腕が緩まないピッチャーは珍しいと思います。あとは伸びしろしかないので、見ていて楽しいですよね。カレンダーをめくるごとに、向上しているのがわかる。まるで幼虫がサナギになって、蝶になっていく過程を見ているみたいです」

 仙台育英は絶えず複数の好投手を擁して、2022年夏に甲子園制覇、2023年夏に甲子園準優勝と結果を残してきた。それでも、過去2年で高卒でのプロ入りを果たした投手はいない。ほとんど公式戦実績のない山口だが、「高卒プロ志望」を明言する。

「練習試合で少しずつ自分のピッチングができるようになってきて、最近になって『高卒でプロに行きたい』と思えるようになりました。もちろん、実績あってのプロだとも思うので、夏はチームとして甲子園に行って、日本一を取りたい。そこに向かうなかで、みなさんに自分のピッチングを見てもらって、少しでも『山口ならプロでやっていける』と思ってもらえたらいいなと考えています」

 今やサナギから羽が見え始めている。謎の剛腕が大空に向かって羽ばたく瞬間は、すぐそこまできている。

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