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大谷翔平の番記者が見たヘビースモーカー水原一平騒動の“生々しい記憶”「記事掲載後、彼の父からDMが」「傍聴席から見た表情は…」 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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posted2024/05/08 06:03

大谷翔平の番記者が見たヘビースモーカー水原一平騒動の“生々しい記憶”「記事掲載後、彼の父からDMが」「傍聴席から見た表情は…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

メジャー開幕直後、大騒動の渦中の人となった水原一平氏。番記者が見た素顔とは

 グラウンド外ではダーツやトランプが好きと聞いたこともあり、ヘビースモーカーでもあった。それが事件に直結したとはもちろん思わないが、ある選手が事件後に「ギャンブル好きだったから世間ほどこのニュースに驚きはなかった」と話しているという声を間接的に聞いた。

エンゼルス時代、偶然スタバで会った記憶

 水原容疑者は6歳だった91年に和食料理人の父・英政氏ら家族とともにカリフォルニア州ロサンゼルスに移住。同州では違法だが、多くの州でカジノや「スポーツベッティング」が合法化されており、日本育ちの人にはないギャンブルへの感覚を持っていた印象もあった。

 水原容疑者は今年1~3月に総額約32万5000ドル(約5000万円)で大量の野球カードを「ジェイ・ミン」という偽名で大谷の口座を不正利用し購入していたという。

 昨季まで、水原容疑者とエンゼルスタジアム近くのスターバックスで何度か偶然会ったことがある。

 注文時、店員に伝える名前はいつも「ジェイ」だった。当時は「一平だと米国の人が呼びにくいと思って……」と話していた。米国でアジア系の人々が現地の人々が発音しやすいようにアメリカンネームを使うことは一般的だが、まさかその名前が事件にも使われるとは夢にも思わなかった。

傍聴席から見た彼の表情は…

 4月12日。銀行詐欺容疑で訴追された水原一平容疑者がロサンゼルスの連邦地裁に出廷し、私も傍聴席から見守った。連邦地裁前にはテレビカメラが12台並び、60人分の傍聴席はあっという間に埋まった。

 午後1時46分。水原容疑者が姿を現すと、すぐに異変に気付いた。極端に歩幅が狭く、ジャラジャラと金属音が聞こえた。両足の自由を奪う「足かせ」だった。うまく歩けない中で、少し口元を緩めたようにも見えた。

 違法賭博関与が報じられてから、公の場に姿を現すのは初めて。黒いスーツ姿で、韓国ソウルでの開幕戦時と髪形や体形を含めて大きな変化はなかった。

 促されて証言台前に立ち、両手を腰の前で合わせて保釈条件を聞いた。ほそぼそとした声で「イエス」と繰り返すこと16回。閉廷間際、裁判官に小さな声で「サンキュー」と述べ、軽くお辞儀した。

【次ページ】 水原一平は、どんな人物なのか分からなくなった

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