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大谷翔平とロバーツ監督に生まれた“信頼関係”…指揮官の“笑いに変える”コミュニケーション術に感謝した理由「冗談を言い合える雰囲気が楽」
posted2024/05/09 17:00
text by
斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph by
AFLO
ドジャースの大谷翔平投手(29)が、紆余曲折の開幕1カ月から一気に乗ってきた。5月4日のブレーブス戦では今季8号を放ち、日本生まれの選手ではデーブ・ロバーツ監督(51)の7本塁打を抜いて球団記録を更新。移籍後、試合後の囲み取材では最も笑っていたのではないか。そう感じられるほどだった。
質疑応答から約1分半、「Excuse me!!」と“乱入者”が現れた。ロバーツ監督が、前日に大谷からプレゼントされたというポルシェのミニカーを持参。冗談で新車を欲しがっていたようだが、「これが私の車です。私の机にぴったりです。ショウヘイ、おめでとう。そしてありがとう! ハッハッハ」とコメントし、満足げに立ち去った。背後で大谷は、なんともうれしそうな満面の笑みを見せていた。球団スタッフや広報、メディアも含め、その場は和やかな空気に包まれた。
大谷とロバーツ監督の間には常にリスペクト、信頼と笑いがある。3月下旬の本拠地ドジャースタジアム開幕からしばらく、大谷は本来の姿からほど遠い状態だった。自己ワーストの開幕から40打席ノーアーチ。新天地での1号へ、はやる気持ちもあった。そこで救ったのが、ロバーツ監督の言葉だった。
「Be Yourself(自分らしく)」
「気持ちが楽になった」ロバーツ監督との会話
大谷は1号を放った4月3日のジャイアンツ戦、試合後のインタビューで「自分らしくいればそれだけでいいっていうふうに言ってもらえたので、気持ちが楽になりましたし、今日こうやってまず結果が出て、それをまず継続して頑張りたい」とコメント。指揮官との会話で、肩の荷が下りたことを明かした。
当初はチーム打撃を心がけ、引っ張る傾向が強かった。1番ベッツの出塁率が高く、走者一塁で打席を迎える場面が多い。大谷が右方向に引っ張って安打とすれば、一、三塁の形が作れる。その結果、3番フリーマン、4番スミスで得点できる可能性が高くなる。一方で、全方向へ広角に打ち分ける大谷の長所が薄れつつあった。本来の打撃を取り戻すきっかけになったのは、もちろん打撃コーチ陣とのフォーム微調整や分析も大きな要因ではあるが、ロバーツ監督の存在も大きかった。