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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
<NHKで告白>“イップス”に悩むDeNA投手を救ったのは「長崎県知事」だった プロ3年目・徳山壮磨24歳が明かす「初めて一軍のマウンドに立つまで」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/06 11:05
チームの苦境に現れ、ピンチを救ってきた徳山壮磨。イップスで苦しむ若手投手を救ったのは、自主トレ先での長崎県知事との出会いだった
まさかこんなに早く結果が出るとは
確固たる自分を持つこと。最初こそ違和感はあったが、踏み込む足をスッと素早く前に出し、テイクバックを小さくした。体幹(丹田)に意識を置いた力感としなやかさを兼ね備えたシンプルなフォーム。ボールの回転軸に注意を払ったホップするようなストレート。見る見るうちに投球内容は改善し、技術面でも“ゼロ地点”を見出した徳山は、水を得た魚のように躍動し、7月以降はファームで16試合を投げ、防御率0.95と結果を残した。
これを見た首脳陣は、今季に向けロングリリーフなどでの起用を打診したという。徳山はオフになるとオーストラリアに武者修行に行き、暖かい異国の地で純粋に野球の楽しさに触れる経験をし、また新たにカットボールを習得するなど研鑽に努め、晴れて自身初となる開幕一軍入りを実現した。
「まさかこんなに早く結果が出るとは思っていませんでした」
徳山は感嘆したように言った。3年目、絶体絶命のピンチから、以前よりもバージョンアップして生還することができた。すべては自分の問題を直視することができた勇気と、人との出会い、そして自分が必要と感じることを取捨選択できたことに尽きる。
捕手・山本祐大の証言
ボールを受ける捕手の山本祐大は、徳山の自信に満ちた様子について次のように語る。
「マウンドの表情がすごくいいんですよ。元々めちゃくちゃいいボールを投げていたピッチャーですし、本当ここ数年はもったいないなって気持ちがすごいあったんです。だからこうやって自信を持って投げている姿を見られるのは嬉しいし、まだまだこれからですけど、もっともっと飛躍してもらいたいと思います。今は勝ちパターンの投手。もう大丈夫だと思いますよ」
ミットから伝わる感触を思い出すように、山本は笑顔でそう言い、徳山の今後に太鼓判を押した。