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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
異例の“イップス”告白、DeNA徳山壮磨24歳に聞いた「再発の不安はないのか?」「大丈夫です」本人は言い切った…一軍登板ゼロ“2年間の苦闘”を語る
posted2024/05/06 11:04
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
JIJI PRESS
訊くことは憚られたが、ひとつだけ確認したいことがあった。
運動障害である“イップス”を克服したというが、例えばひどく打ち込まれるなど、何かの拍子で再発してしまう恐怖心はないのだろうか。いつしか押し留めていた感情があふれ出て、また塗炭の苦しみを味わうのではないか。そこに不安はないのか。
思い切ってそう問うと、徳山壮磨は一瞬表情を硬直させたが、すぐに穏やかな柔らかい笑顔を見せた。
「はい、大丈夫です。そこに不安はなくて、もし仮にまたこういった現象が起こったとしても、しっかりと積み上げてきたものがありますから。技術にしてもメンタルにしても、『自分はここだ』って立ち返る場所ができたんですよ。以前はそれがなかったから大変だったけど、そこが作れたのは自分にとって大きかった」
“ゼロ地点”を見つけられたからこそ、迷いなく自分の力を発揮することができる――。
“火消し”でチームを救う役割
プロ3年目の今シーズン、横浜DeNAベイスターズの徳山は、J.B.ウェンデルケンや入江大生を欠くリリーフ陣にあって獅子奮迅の活躍を見せている。アベレージ150キロのストレートを武器に、僅差のビハインドから火消し、勝ち試合まで、首脳陣からの信頼がなければ起用されないシビアな場面でマウンドを任され、懸命に腕を振っている。
ここまでの成績はリリーフとして11試合を投げ防御率1.64、4ホールド(5月5日現在)を記録するなど、十分な数字を残している。徳山は、開幕からの怒涛の1カ月間を振り返る。
「やっとここに来られた、という気持ちです。けど、まだ始まったばかり。とにかく1年間やりきって評価されるのがプロだと思いますし、だから今は一喜一憂せず、最後まで戦うことを目標に毎日必死に投げています」
ピンチであろうが、負けている場面であろうが…
引き締まった表情で徳山は続ける。