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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
異例の“イップス”告白、DeNA徳山壮磨24歳に聞いた「再発の不安はないのか?」「大丈夫です」本人は言い切った…一軍登板ゼロ“2年間の苦闘”を語る
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/05/06 11:04
4日の広島戦、松山竜平に逆転本塁打を喫した徳山。この試合の前、徳山に「打ち込まれた時」についての考えを聞いていた
「過去2年、いつかは立ちたいと思っていた場所で、ようやくプレーすることができています。だからピンチであろうが、負けている場面であろうが、ここで投げられる幸せというか、ありがたさをすごく感じているんです。今やれているのは、当たり前じゃないし、この気持ちを忘れないようにやり続けなくちゃいけない」
実感のこもった声の響き。徳山の言う通り、ルーキーイヤーから2年間、一軍の舞台に立つチャンスを掴むことができなかった。
プロ入り後に起きた異変
大阪桐蔭高校時代は春のセンバツで中心選手として優勝を経験し、進学した早稲田大学ではベストナインに選出、そして2021年のドラフト会議でDeNAから2位指名された。いわばエリート街道を歩んできた徳山だが、プロになり輝かしい未来が待っていると思いきや、苦しみに満ちた2年間だった。
思うようにボールが投げられない――。
体に異変が起こったのは、入団間もない頃だった。徳山いわく「自分自身に矢印が向いてしまった」ことが要因だった。
「相手ではなく自分と戦ってしまったんです。学生時代は自信を持って投げていましたが、相手がプロのバッターとなり、ストライクゾーンも狭くなって、打たれちゃいけない、甘くなっちゃいけないって、マイナス要因が頭の中を支配するようになってしまったんです。今まで考えずにできていたことが、できなくなってしまった……」
いいところを見せなくちゃいけない
即戦力として期待する周囲からの視線も、徳山のマインドを悪い方向へと誘った。