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「藤田譲瑠チマは別格。松木玖生にも驚いた」トルシエがU-23日本代表ベタボメも…五輪決定で“隠れた弱点”を懸念「5-0で勝つべきだ」
posted2024/05/02 17:04
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kenichi Arai
決勝進出とパリ五輪出場権がかかった大一番であったU23アジアカップ準決勝で、イラクを2対0と下した日本は、優勝した2016年大会以来の決勝進出を果たすと同時に、1996年アトランタ五輪以来8大会連続となるオリンピック本大会の出場権を獲得した。
内容的には日本の危なげない勝利だった。ペースを握った前半に2得点し、イラクの反撃を受けた後半も、幾度か危ない場面を迎えながらも落ち着いた守備でイラクにつけ入る隙を与えなかった。
日本が会心の勝利を収めた試合。だが、フィリップ・トルシエは、日本の勝利が隠してしまったものがあることを指摘した。それはいったい何であったのか。日本がパリ五輪でメダルを獲得するために、恐らくは欠くことのできないものなのだろう。
流動的でコレクティブ、規律も申し分なし
――イラク戦は日本にとって素晴らしい試合になりましたね。
「全体として素晴らしかったが、試合が拮抗した後半が特にそうだった。日本のパフォーマンスを見たとき、もっと多くの得点をしていてもおかしくはなかった。しかし結果は2対0で、イラクは最後まで挫けることなく自分たちのスタイルを押し通して得点を狙った。そこで失点を喫していたら、日本がその後どうゲームをコントロールしたかはとても興味深かった。
この試合に限らず日本は大会を通して素晴らしいプレーを実践して、自らの力を誇示したのは間違いないが、準決勝の日本はグループステージの日本とは異なっていた。チームはコレクティブによく組織され、屈強なうえにとても厳格だった。自分たちがボールを保持していてもいなくとも、選手それぞれが規律に溢れ責任感を持ちながら個々の役割を演じていた。スピード感に溢れバラエティーに富んだダイナミックなプレーを披露し、組織も円滑だった。
特にふたりのセンターバック(木村誠二と高井幸大)と藤田譲瑠チマに支えられた守備は安定していた。このトライアングルは、後方からの攻撃の起点にもなっていた。また両サイドのデュオ、右サイドの関根大輝と山田楓喜、左サイドの大畑歩夢と平河悠が存在感を示し、前線では細谷真大と松木玖生、荒木遼太郎がゴールを脅かした。流動性に富んだ布陣であり、ダイナミズムとバラエティーに溢れていた。豊富な運動量とスプリントに支えられたスピーディなプレーはコレクティブで、規律も申し分なかった。
ただ、それだけ膨大なエネルギーを消費しながら、最終的な結果はそこまで圧倒的ではなく、収支決算は捗々しくはなかった」
しかしそこには、隠された側面がある
――たしかにチャンスは数多く作りましたが……。