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「やばいっす、めっちゃ話しかけてくる!」松井裕樹はなぜパドレスで人気者に? 心を掴んだ“史上最高の入団スピーチ”「彼はすごく耳がいい」 

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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posted2024/04/26 11:02

「やばいっす、めっちゃ話しかけてくる!」松井裕樹はなぜパドレスで人気者に? 心を掴んだ“史上最高の入団スピーチ”「彼はすごく耳がいい」<Number Web> photograph by Getty Images

練習したスピーチでパドレスのチームメイトやファンの心を掴んだ松井裕樹

 アスリートにかぎらず、母語以外の言語を自分のものにするのは決してたやすいことではない。埃をかぶった単語帳に、起動しなくなったDuolingo……。多かれ少なかれ、誰もが挫折を味わったことがあるはずだ。

 複数の言語を操る語学の専門家として、サカモトは「軽薄のススメ」を説いた。

「最初はみんなやる気があるんですよ。でも、語学って時間がかかるし、初速を維持できるわけがない。一度うまく続けられなくなったときに、真面目な人ほど自分をダメだと思って挫折しやすいんです。僕の場合、人間関係においては真面目だと思いますけど、語学との付き合い方はふしだらなので。イタリア語も勉強中と言っていますが、1年ぐらいやっていませんし、その一方で気の向くまま他の言語にも手を出したり(笑)。

 でも、それをダメとも思っていなくて。どうせ一生ものの勉強だし、挫折じゃなくて休憩だと考える。で、何かの拍子にまた再開して、ちょっと覚えたらすぐに使って、『まだまだいける!』と思い込む。楽しみながらやっていますね。教えるときも、最初は根を詰めすぎずにスロースタートするようにしています」

 語学とは“チャラい”関係がちょうどいい――箴言めいたフレーズを口にして、アスリートを支える異色の語学講師はニンマリと笑みを浮かべた。

前編から続く)

タカサカモトTaka Sakamoto

1985年4月12日、鳥取県生まれ。フットリンガル代表、作家。東京大学文学部在学中にメキシコに渡り屋台のタコス屋で働く。帰国後にYouTubeで観たネイマールのドリブルに魅了され、卒業と同時にブラジルへ渡航。アポなしで飛び込んだ名門サントスFCで広報の仕事を得る。その後、ネイマールの来日時通訳などを経て、フットリンガルを創業。国際舞台での活躍を志すサッカー選手や野球選手を対象に、語学指導や異文化適応のアドバイスを提供している。著書に『東大8年生 自分時間の歩き方』『PLMメソッド ファンを増やしてプロ野球の景色を変える!』(ともに徳間書店)がある。

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