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《真相直撃》プロ野球で話題「選手プロデュースグルメ」は本当に選手が関与している? 西武の試食会に潜入…“激辛メニューがない”納得の理由
text by
カルロス矢吹Carlos Yabuki
photograph byYabuki Carlos
posted2024/05/03 11:10
プロ野球選手の「プロデュースグルメ」は本当に選手が関係しているのか? 関係者を直撃した
豊田 松井稼頭央監督のメニューは、一回では終わりませんでした。2023年シーズンの監督就任にあたって「松井稼頭央弁当」、「松井稼頭央の黒毛和牛と三元豚の肉寿司」(2024シーズンは「松井稼頭央のこだわり肉寿司」としてリニューアル)、「松井稼頭央のガーリックシュリンプライス」の三種類を販売したのですが。まず肉寿司に関しては「値段が高いな、お客さんのためにもう少し安くならないか?」と値段のことで意見をもらいまして。ガーリックシュリンプライスの方も、現役時代に販売していたメニューの復刻だったんですが、改めて試食してもらったら「あれ? こんな味だったっけな……」となりまして。そこで改めて試食会を行うことになりました。肉寿司の方は値段を下げるのではなく、お寿司の個数を増やしたりして原価調整をして。ガーリックシュリンプライスの方は、店舗の方と少し味付けを再調整して。そういったやり取りを重ねて、最終的に松井監督からは試食でOKをいただいて決まりました。
飲食店経験者を採用していた…
――そもそも、豊田さんは飲食業界のご経験がおありなのでしょうか? そうでないと店舗側との調整など難しいと思いまして。
豊田 はい。私は前職で、ホテルの飲食部門で仕事をしておりました。なのである程度は、飲食店とのコスト計算のことなどは話ができます。転職活動で株式会社西武ライオンズに採用されて、おそらく飲食担当の経験があるからということで今の部署に配属されたのだと思います。
――なるほど。では最後になりますが、飲食担当者として、「今後こういうものをやってみたい」という希望がありましたら教えてください。
豊田 マイナスな意味ではなく、「自分がやりたいことはありません」というのが答えですかね。大前提はファンの皆さまに買っていただき、喜んでいただける商品を作ること。その中で選手プロデュースグルメには、なぜこのグルメを開発したのかというストーリー性をつけていくこと。それが仕事だと思っているので。やっぱり支持されない商品を出しても、我々もそうですし、選手も残念な気持ちになっちゃうので。そこはバランスを取りながら、喜んでいただける商品をしっかり作っていくっていうことですね。ただ、他球団の例にはなるんですが、東北楽天ゴールデンイーグルスに田中将大選手が復帰した際、田中選手プロデュースグルメを一気に7種類販売開始したことがありました。ああいう風なことがあると、やはり盛り上がりますから。ライオンズに限らず、12球団がスタジアムグルメ、選手プロデュースグルメを通して少しでも盛り上がれば、というのが私の希望ですね。