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水原一平の犯行に米メディア本音「我々は最悪のことをしていた」「バレロはどこに行った?」なぜ大谷翔平に厳しかったのか…一変の現地報道まとめ
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byNanae Suzuki
posted2024/04/14 11:02
大谷翔平の元通訳・水原一平氏が訴追された。米メディアの反応は?
「バレロはどこに行ったのだ?」
敏腕記者で知られる米スポーツメディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール氏も4月12日付の記事でこう書いた。
「ミズハラだけが、オオタニを失望させたわけではない。バレロはどこに行ったのだ? 代理人は通常、経理面の管理はしない。契約交渉と金銭管理は別分野だ。しかしミズハラがバレロや他のアドバイザーに口座情報開示を拒否したら、それは警報サインが出ているということではないのか? もしオオタニを不機嫌にさせることになれば、他の代理人のところに行ってしまうとでも思ったのか?」
身代わり説の「陰謀論」も…
バレロ氏を中心とした「大谷のビジネスチーム」に猛省が求められている一方で、米国ではメディアやファン、SNSユーザーも自省するべきとの声も上がっている。大谷が被害を被った今回の違法賭博と不正送金事件は、不明な点があったことから多くの憶測を呼び、「オオタニの身代わり説」などの陰謀論がSNSを席捲していた。米メディアでは野球賭博で永久追放されたピート・ローズを引き合いにだして大谷が語られることも1度や2度ではなかった。
FOXスポーツでパーソナリティを務めるジェーソン・フィッツ氏はそんな騒動を振り返り、4月12日の放送でこう語った。
「我々は数週間もの間、まったく何の証拠もない中でオオタニとローズを同じ文脈で語っていた。まったく最悪のことをしていた。なぜか? 何も知らない事象に対して自分勝手なロジックを当てはめるからだ。ショウヘイについては、もっと情報が出たときに事実だけを伝えるべきだった」
捜査発表が「異例の早さ」の背景
米専門メディア「ベースボール・プロスペクタス」も同日の記事で「今回のことは憶測というモラルハザード(道徳的節度がなくなることによる弊害)を考えさせられた。いつか、疑問を呈することと憶測を垂れ流すことを混同しない時代がくるといいが」と論じている。
水原容疑者のことは大谷にとってはショッキングで辛い出来事だっただろうが、社会にとっては一石を投じる出来事にもなった。大谷の社会的影響力は米国でもそれほど大きい。通常は年単位の時間がかかるといわれていた連邦捜査機関の捜査結果が異例の早さで出たことも、その影響力の大きさゆえだろう。