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「僕には時間がない」栗山英樹監督が驚いた大谷翔平の発想…外出時の“大谷ルール”は必要なし?「2年目まで翔平は門限を知らなかった」
posted2024/04/20 11:04
text by
栗山英樹Hideki Kuriyama
photograph by
Nanae Suzuki
『信じ切る力 生き方で運をコントールする50の心がけ』(栗山英樹著/講談社刊)より抜粋して公開します。<全2回の第2回/第1回も配信中>
翔平は筋トレだけはやめなかった
翔平に驚かされるのは、独自の考え方がはっきりあることです。例えば、打ったり投げたりする練習を、途中でやめてしまうことがある。自分がイメージしているものと、あまりに違う動きになっていることに気づくと、やめてしまうのです。
もし、そのまま練習を続けると、おかしな動きがそのままクセになってしまいかねない。悪いフォームになってしまうということだと思います。昔は、それを直すための練習をしたり、バットを振ったりしたものですが、翔平はやらない。
一方で、筋肉を鍛えるトレーニングだけはやめなかった。シーズンに入って遠征に出ていたとしても、朝10時になると必ずリュックサックを背負ってトレーニングに行っていました。僕は一緒に行くわけではないので、トレーナーに話を聞きました。
それこそ、その日も試合があるし、前日までの試合で身体の疲れもある。だから、トレーニングを休んだほうがいいのでは、とトレーナーが言っても、本人は聞かない。
「今日、仮に身体が疲れてしまっていたとしても、試合では何とかします。今日の試合のこと以上に、僕には今やっておかないといけないことがあるんです」と言うのです。
「僕には時間がない」
翔平の頭の中にあるのは、「今じゃない」ということでした。
「今のためではなく、 将来こういうプレーヤーになるために、今やっておかなければならないことがある。 だから、今やる」。こんな発想をする選手は、トレーナーも見たことがないと言っていました。