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「僕には時間がない」栗山英樹監督が驚いた大谷翔平の発想…外出時の“大谷ルール”は必要なし?「2年目まで翔平は門限を知らなかった」
text by
栗山英樹Hideki Kuriyama
photograph byNanae Suzuki
posted2024/04/20 11:04
日本ハムファイターズ時代の大谷翔平。栗山英樹監督も驚く独自の考え方で練習に取り組んでいたという
実は、何人かの選手にも同じようなルールを作りましたが、最後までルールを守り切ったのは、翔平だけでした。
外出するときには、僕に直接、連絡をする。例えば、誰と食事に出るのか、知らせる。結局、僕は一度もダメ出しをしたことはありませんでした。僕が心配していたのは、「ちょっと大谷くんを連れてきて」と言われた、などと他の選手からの誘いが来ることでした。
超スーパースターになろうとしている翔平に会いたい人は多い。しかし、それをすべて許していたら、間違いなくおかしくなると思いました。ただ、本当に行きたいのであれば、行っても構わないと思っていました。翔平が憧れの選手と食事をするのもいい。
翔平は“門限”を知らなかった
今も覚えていますが、2年目の7月、仙台で完投勝利をした夜、翔平から連絡が来たのでした。試合後の遅い時間でした。
「監督、お疲れさまでした。今日、花巻東時代のキャプテンが仙台に来ているんですが、ちょっと飯、食べに行っていいですか」
僕が「どうぞどうぞ、ゆっくり食べてきなさい」と伝えると、「ちなみに、門限って何時ですか?」という返事が来ました。実は2年目の夏まで、翔平は門限を知らなかったのです。門限が必要なかったから、門限という発想もなかった。
門限はあったと思いますが、僕は返信しました。
「門限あるけど、気にしなくていいから、ゆっくり食べてきなさい」
改めてルールなんて、どうでもいいのだと思いました。翔平にとっては、あってもなくても、どっちでもよかった。あろうがなかろうが、本人の問題だったのです。
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