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久保建英22歳ケガの悲運→相手DFが痛めた足をストレッチ、“元恩師”の敵将も心配そうに…撮影者が肌で感じる「バスク対決、タケへの敬意」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/04/05 17:01
アラベス戦で太もも裏を痛めた久保建英。ショッキングな出来事だったが、フォトグラファーは対戦相手のリスペクトを目にしていた
それでも18時半のキックオフが近づいてくると、雨は止み晴れ間がのぞいてきた。木々が雨上がりの光を受け、活き活きと彩りを強めた公園を抜けてスタジアムを目指した。ちなみに時差が変わったことで、日の入り時間はすでに20時半過ぎとなっている。
空気こそ冷たいが、春の日差しは暖かく、ユニホーム姿でメンディソローサ・スタジアムを目指すファンの姿もちらほらと。
この日は、バスク州同士のダービーということもあり、サンセバスチャンから訪れたというソシエダファンの姿も多く目についた。
ただアラベスもソシエダも、青と白を基調としたユニホームのため一見しただけではどちらのチームか見分けがつかない。そんな中、目の前を〈TAKE 14〉とプリントされたユニホームを纏った可愛らしい少年サポーターが横切っていった。
「なんでタケのユニホームを選んだの?」と聞いてみると、「だって上手いから」と。
そして「今日はタケの2ゴールで勝つと思う」と予想してくれた。
試合ではザハリャンとの好連係を見せた場面も
その久保は、右ウイングとして先発出場となった。
サイドでボールを受けると、対面する相手DFハビ・ロペスと攻防を繰り広げ、縦への突破、そして内へ切り込むと一瞬の隙をつきスルーパスで好機を演出した。また密着したマークを受けた際には、ボールをキープしつつヒールを使った股抜きで、インサイドハーフとして先発したアルセン・ザハリャンとコンビネーションを見せた。
通常なら右インサイドハーフとして久保と連係を見せるのはブライス・メンデスだが、負傷のため20歳のザハリャンが久保との共闘を図った。ザハリャンは、プレスキックのキッカーも務めており、CKではニアに蹴ったボールをパチェコが合わせるシーンが何度もあり、その中からこの試合唯一の得点シーンが生まれている。
太もも裏を痛めた久保に、対面したDFや元恩師が…
ゴールこそ決まらないもののソシエダの時間が続く中で迎えた42分だった。
カメラレンズは、ボールを追う久保の表情を捉えていた。やや上空を眺めると、唇をふるわしながら大きく息を吐き出し――視線を落とした。