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19歳で妊娠が判明「ゴルフよりも、命を優先したかった」4度目で悲願のプロテスト合格…ママさんゴルファー神谷和奏22歳の挑戦 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2024/04/03 11:03

19歳で妊娠が判明「ゴルフよりも、命を優先したかった」4度目で悲願のプロテスト合格…ママさんゴルファー神谷和奏22歳の挑戦<Number Web> photograph by Getty Images

4度目の挑戦でプロテストに合格し、今季からステップ・アップ・ツアーに参戦する神谷和奏(22歳)。出産してからの合格は史上初の快挙となった

 4つ年上の姉がゴルフを始めたのをきっかけに、「物心ついたときには身近にゴルフがある環境」で育った神谷(旧姓・羽藤)が、夢を描いたのは中学1年生のとき。派遣されて出向いた中国での試合を経験して、プロを目指した。同学年には昨年まで2シーズン連続で年間女王に輝いた山下美夢有ら。今季米ツアーに主戦場を移した西郷真央とは同じ千葉県の選抜チームで一緒にプレーしたこともある。

 高校3年時に初めてプロテストを受けた。平日は整骨院の、休日はゴルフ場のキャディのアルバイトで貯めた資金を元手とした挑戦は失敗に終わり、卒業後は茨城県内のコースで働きながら腕を磨いた。

 3回目のプロテストを控えていた2021年の1月、何気ない日常に変化が訪れる。「生理が来なくて、体が火照って眠れない日が続いた」。一緒に住んでいた、コーチでもある幸宏さんとの子どもを妊娠したことが分かった。当時まだ19歳。現実的に言えば、プロアスリートを志す身としては、“生まない”選択肢があったのも事実である。

 だが、彼女に迷いはなかった。「ゴルフをどうしようというよりも、絶対に産むしかないと思いました。命を優先したかった」。高校生の頃、母・そのみさんから「本当は自分の下に、きょうだいがいるはずだった」と打ち明けられたことがあった。まだ目に見えない、小さな命に寄せる思いは、時間とともに膨らんでいった。

 その半面、プロゴルファーになるという目標も変えなかった。

「ゴルフをあきらめるのではなく、おやすみが必要だと思いました。家族の他にも、ずっと応援してきてくれた方がいる。『結婚します。出産します。いままでありがとうございました』というのは、どうなんだろう……と考える部分があった」

 その年、3回目のプロテストは予定通り受験した。同伴競技者に気を遣わせまいと、大きくなり始めたお腹のことは周りの選手には内緒にして。

「横峯さんのニュースは片っ端から読んだ」

 妊娠中、神谷には身体とともに、ゴルファーとしての意識にも変化が表れた。

「横峯さくらさん(2021年2月に第1子を出産)のニュースは片っ端から読みました」

 幸宏さんが、横峯の夫・森川陽太郎さんと知り合いだったこともあり、主治医のアドバイスを受けながら可能な範囲で練習を続けたが、疲労感はひとりだった時とは比べようがない。「10球も打たないうちに休憩」が必要なほどだった。

 母胎に、おなかの赤ちゃんに影響が出ては元も子もない。「だから、練習をやりたくなったらやろうと。無理に避けるでもなく、無理に付き合うでもなく、ちょうど良い距離感でゴルフと向き合えた」。幼い頃からのゴルフ漬けの生活を振り返れば、経験したことがなかった感覚。それだけではない。実際のパフォーマンスにも改善の兆しが見られた。

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