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「1イニングでも長く、球数も多く」ロッテ・佐々木朗希はさらに進化する…怪物右腕5年目の手応えと心に誓う「“あの日”を背負う使命」
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2024/03/31 11:04
佐々木朗希のプロ5年目のシーズンが始まる
試合後、佐々木はメディアからの問いに手応えを口にした。
「自分の感覚とバッターの反応が一致したのでよかった。真っすぐでバッターを差し込めた。今日はやりたいことができた。感覚的なことで上手くは表現できないけど、コーチ、トレーナー、アナリストの方など色々な人に協力をしてもらいながら良い形を見出し、良い状態にすることが出来ました」
周囲への感謝の思いが口をついた。
飛躍のきっかけは名古屋から
バンテリンドームナゴヤのマウンドと佐々木は相性がいい。本人は「特別相性はいいとは思わないけど、投げやすい」と話すが、昨年、WBC日本代表メンバーとして壮行試合で先発した際は165kmをマークしたこともある。
飛躍のきっかけを掴んだのも、この場所だった。2021年8月3日のことだ。東京五輪の開催を受けてプロ野球のペナントレースは小休止。エキシビションマッチという練習試合が組まれ、マリーンズは名古屋にいた。佐々木はこの年、プロ2度目の先発登板となった5月27日、甲子園でのタイガース戦でプロ初勝利を記録したが、その後は勝ち星から遠ざかっていた。5月は2試合に投げて初勝利はしたものの防御率4.50。6月、7月も調子が上がらないままオールスター後の中断期間に突入した。
五輪期間中ということもありメディアは全く注目していない試合だった。取材に来ていた担当記者は2人だけ。テレビ中継もなく、この時の投球に関する報道はほとんど残っていない。佐々木はその試合に先発して5回を投げ被安打1。5回にパスボールの間に1点を失ったが4回までは中日打線相手に一人の走者も許さないパーフェクトピッチングだった。4回には三者連続で空振り三振に抑えた。ストレートは走り、唸りを上げていた。
上昇カーブの予感
「指のかかりがよかった。甘いところにいっても安打にされず、打ち取ることも出来た」
手にした自信をそう明かしていた。