オリンピックへの道BACK NUMBER
「常に勝ち続ける難しさを…」世界選手権3連覇、坂本花織(23歳)が自分に掛け続けたプレッシャー…取材記者が見てきた「地道な姿勢」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2024/03/28 11:03
世界選手権で3連覇を達成した坂本花織
北京五輪後も燃え尽きることなく……
4年に一度の大舞台を経てモチベーションのあり方に苦しんだり、葛藤を抱えたり、波がありつつその波にのまれることなく乗り越えてきた。フィギュアスケートに限らず、どの競技であっても困難であろう状況に停滞することなく継続してきた。
折々の取材を通じて坂本から感じるのは、練習そのものを重要視しているのは言うまでもなく、例えば練習の中の1本のジャンプであったり、ディテールの部分、地道な部分を大切にする姿勢だ。
誰もがそうであろうとしているかもしれない。アスリートでなく普通の人々でも、そうありたいと考える。でも、日々実行できるかは別の話だ。
2022年の北京五輪で銅メダル獲得という大きな結果を残してなお、燃え尽きることなく気持ちを整えられたのも、日々の過ごし方にあった。地道に1つ1つを大切に取り組んできたことは、先に記したように技術、表現、あらゆるところで細かなところまで磨き上げられた演技にこそ表れている。
他のスケーターの手本、指標に
しかもシーズンを重ねるごとに進化をみせてきた。隅々まで行き届いた演技でGOE(ジャンプなど各要素のできばえ点)や演技構成点で高評価を得られる強みを身につけたことも、他のスケーターの手本となり指標となる。
試合を終えて坂本は言う。
「今できることを精いっぱいやって、もっともっと自分自身のレベルを上げていけたらなと思っています」
その言葉通りに歩んできた結果が、世界選手権3連覇であった。