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「悔しさです。ずっと悔しさです」坂本花織(22歳)が世界選手権2連覇で流した“涙の意味”は…選手たちから尊敬される人間性「カオリは憧れ」

posted2023/03/30 17:01

 
「悔しさです。ずっと悔しさです」坂本花織(22歳)が世界選手権2連覇で流した“涙の意味”は…選手たちから尊敬される人間性「カオリは憧れ」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

世界選手権女子シングルで2連覇を達成した坂本花織。フリーの演技後には、悔し涙を流した

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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Asami Enomoto

 3月24日、さいたまスーパーアリーナで開催されていた2023年世界選手権で、坂本花織は2年連続となる優勝を果たした。世界選手権の2連覇は、日本人として初の快挙だった。

 3月22日のSPは、ジャネット・ジャクソンの「Rock With U」などを使ったプログラムをノーミスで滑り切り、トップに立った。振付をしたロヒーン・ワードは、こう感想を述べた。

「カオリはまるで炎のようだった。言葉で言えないほど、彼女を誇りに思っています。彼女自身も楽しんでいたと思う。とても自信に満ちていて、同時に激しかった。カオリらしさが出ていました。みんなが彼女のプログラムを楽しんでいたと思う」

 79.24のスコアは昨年の80.32にはわずかに及ばなかったものの、2位の韓国のイ・ヘインに5ポイント以上の差をつけてトップに立った。

フリーの後の涙の意味「すごく悔しい気持ちで」

 ところが2日後のフリーでは、最終滑走だった坂本は「Elastic Heart」を滑り終えると、両手で顔を覆って泣き崩れた。何も事情を知らない人なら、滑り終えた安堵と歓喜の涙だと思っただろう。だが坂本にとっては、悔し泣きだった。

 その理由はたった一つの大きなミス、後半の3フリップを1回転にしたことだった。それでもミスを引きずることなく、間髪いれずに3トウループをつけ、その後はノーミスで滑り切った。フリー145.37はイより2ポイント弱低かったが、SPでの点差で逆転を許さずに総合224.61でトップを保って優勝が決定。結果を見た坂本は、それでも涙を流し続けた。

 演技後、先に表彰式を終え、メダルを首にかけて坂本は記者団の前に現れた。

「すごく悔しい気持ちで、今はいっぱいです」

 日本人として初の世界連覇を成し遂げたにも関わらず、開口一番にこう言った。演技終了直後の涙と、結果を知ってからの涙は同じものだったのか。そう問われると「悔しさです。ずっと悔しさです」と答えた。

【次ページ】 それでも坂本が「成長した」と語った部分

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