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史上初めて“JRAの場内実況”を担当した女性アナウンサー「ファンのあたたかさに救われた」藤原菜々花26歳が語る“デビュー戦”の舞台裏 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byHirofumi Kamaya

posted2024/03/24 17:01

史上初めて“JRAの場内実況”を担当した女性アナウンサー「ファンのあたたかさに救われた」藤原菜々花26歳が語る“デビュー戦”の舞台裏<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

3月3日に史上初めてJRAの場内実況を担当した藤原菜々花アナウンサー

「お風呂に入っているときも、ずっと馬名を呼んで…」

 場内実況を引き受けたあと、デビューに向けてどのように備えたのか。

「土曜日はいつも通り番組全体のMCの仕事ですとか、レースが終わった後の騎手のコメントを取りに行く取材の仕事などが入っていたので、それ以外の空き時間で練習しました。家に帰ってからは『塗り絵』を作りました」

「塗り絵」とは馬の判別を行うために騎手が着る帽子や勝負服の模様や色を描き、ゲート番号と馬名をリンクさせた手作りの表のようなものだ。この塗り絵を頼りに実況を行う。

「塗り絵を作って、次の作業として馬名を隠したときに服を見てぱっと馬の名前が出てくるように暗記しました。いくら暗記をしてもほんとうに不安で不安で、お風呂に入っているときもずっと馬名を呼んでいましたし、ベッドに入ってからもひたすら頭の中で、騎手が着る服を思い浮かべて『この服はこの馬だ』って夜過ごしていました。

 もう1つ、16頭(1頭は出走取り消しとなった)の今までの戦績やデータを調べて、新聞の方に書きこみました。一頭一頭のプロフィールというか、そういうところを調べて、そこも頭に入れながら前日は過ごしていました」

デビュー戦の感想は「申し訳ない気持ちで一杯に」

 いざ迎えたデビュー戦は――。

「気がついたらレースが終わっていたというところが1つ、感覚としてはありました」

 そして言葉を続ける。

「私の実況というのは音だけで聴いている方がいたとしたらすごく分かりづらくなってしまいましたし、映像付きでご覧になっている方にとっても私の実況がレースを邪魔してしまった部分があったと思います。

 4コーナーをカーブしていよいよラストの直線、ここで勝負が決まる大切な最後の攻防なんですけれど、1頭後ろから追い込んできた馬がいました。その馬『メジャーレーベル』が勝つんですけれど、ぱっと名前が出てこないことがあって。強い勝ち方での初勝利だったんですけど、それをうまくお伝えできなかったので、ジョッキーや調教師さん、馬主さんや関係者の方々に申し訳ないという気持ちがありました。そして、馬券を握りしめてレースを楽しみにしていらっしゃったお客さんにも申し訳ない気持ちで一杯になりました。

 レースが始まるまでは緊張していない、いつも通りと思っていたんですけど、緊張していることに気づいてなかったんだなっていう反省の思いがレース直後にありました」

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