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キューバの“スーパー少年”はなぜ日本に? ママ反対も16歳で来日、ついに日本代表初選出「イシカワさんもランもライバル」男子バレー新戦力 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2024/03/22 17:01

キューバの“スーパー少年”はなぜ日本に? ママ反対も16歳で来日、ついに日本代表初選出「イシカワさんもランもライバル」男子バレー新戦力<Number Web> photograph by Noriko Yonemushi

日本国籍を取得し、代表登録メンバーに選出されたデ・アルマス アライン(23歳)。パリ五輪代表の座を懸けて、熾烈な戦いが始まる

 高校卒業後はVリーグのサントリーに入団した。Vリーグでは、日本での3年以上の就学、チームの所属選手としての1年以上の就業などの条件を満たし、日本への帰化の意思がある選手を「B登録外国籍選手」として登録できる。つまりサントリー入団時に、日本に帰化することを決めていた。

 当時、両親に相談すると賛成してくれた。

「パパは、『“プランB”も考えたら(帰化を)やったほうがいいよ』って。例えばこの先、プレーが良くないとか、怪我して(バレーができなくなって)も、帰化していたら日本で仕事をしやすいし、アメリカや他の国にも行けるからって。キューバにはバレーのリーグがないし、キューバに戻ったら兵役もあるから」

 徴兵制のキューバでは18歳以上の男子には兵役の義務があるため、キューバ国籍のまま帰国すると基本的に2年間の兵役が課される。そのためアラインは高校1年を終えた17歳の春休みに帰国したのを最後に、一度も母国には帰ることができていない。

 これまでにもキューバから他国に国籍を変更した選手は多い。元キューバ代表で、今はポーランド代表のウィルフレド・レオンや、ブラジル代表のイオアンディ・レアルは憧れの存在だ。彼らのような活躍を夢見て、サントリーでプロとして歩み始めた。その時から“日本代表”が目標になった。

武器はサーブ「マサさんをずっと見てた」

 とはいえ1年目は規定により試合に出場できない。我慢の時期だったが、その中で得たものもあった。当時サントリーに所属していた柳田将洋(東京グレートベアーズ)のサーブを日々観察し、自分のサーブに活かした。

「マサさんのサーブは強い。トスをどうやってるかとか、スピードとか、どう狙うとか、ずっとちゃんと見てた」

 今やサーブはアラインの大きな武器だ。

 出場が可能になった2年目は、ドミトリー・ムセルスキーの不在時にオポジットとして活躍。3年目だった昨季、アウトサイドのレギュラーを掴んだ。天性のバネを活かした高い打点からの破壊力あるスパイク、サーブで得点を重ねる。昨季は粗さもあったが今季は安定感が増し、課題だったサーブレシーブや守備も上達している。

【次ページ】 サントリー山村監督「AJは対海外の自信ついた」

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