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キューバの“スーパー少年”はなぜ日本に? ママ反対も16歳で来日、ついに日本代表初選出「イシカワさんもランもライバル」男子バレー新戦力
posted2024/03/22 17:01
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
3月19日、2024年度のバレーボール男子日本代表の登録メンバーが発表された。
キューバ出身で、今年2月に日本国籍を取得したばかりのアウトサイドヒッター、デ・アルマス アライン(サントリーサンバーズ)の名前もあった。日本代表の新戦力、アラインとは一体どんな選手なのか。
「キューバでは小さいほうだった」16歳で来日
「昼寝してて。起きたらケータイにメッセージがいっぱい来てた。宮崎の(高校時代の)コーチや先生達、後輩、家族とかから、『おめでとう』とか『頑張ってよ』みたいな。『え? どうなってるん?』と思ったら、代表に入ってた。ホントにうれしかったです」
少したどたどしい愛嬌のある日本語から、念願が叶った喜びと興奮が伝わってくる。
まだ23歳になったばかりだが、ここに至るまでには幾度も大きな決断があった。
10歳でバレーを始めたアラインは、子供の頃から身体能力が高く、中学からはキューバの有望選手が集まるスポーツ選手養成学校に進んだ。
転機は15歳の時。すでにキューバ代表のU18に入っていたが、宮崎・都城東高校でコーチを務める元キューバ代表のマウリセ・トラルバ氏に誘われ、日本に来ることを決めた。
「U18では(身長189cmは)小さいほうだったから、チャンスがあまりなかった。その時はセッターとアウトサイドをやっていたけど、ほとんどセッター。キューバでは基本的に2mを超えたらミドルブロッカー、198cmとか196cmぐらいだったらアウトサイドというふうに身長で分けられることが多かったから。セッターも他に17歳、16歳の選手がいて、あまり試合に出られない。だから、日本に来ようかなって。
マウリセ先生に、日本の高校で3年間頑張ったら、大学に行ったり、プロ選手になれる可能性があるって言われたから。ママは、15歳の息子ひとりで日本に行くのはイヤや!って心配してた。でも最後は、イヤだけど、俺がやりたいことだからって、行かせてくれました」
2017年4月、16歳で都城東高に入学した。日本語には苦労したが、バレーでは抜きん出ていた。スパイカーに専念し、最高到達点は高校生ながら日本トップレベルの355cm。創部したばかりのバレー部を、3年時にインターハイ初出場に導いた。