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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「海外が必ずしも正解とは限らない。でも…」日本中距離“最速女子高生ランナー”が名門・ルイジアナ州立大へ進学…異例の決断の裏に“ある選手”の言葉
posted2024/03/25 11:03
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
(L)AFLO、(R)Hideki Sugiyama
野球界注目のスラッガー・花巻東高の佐々木麟太郎が、米スタンフォード大への進学を決めたことが話題となった。実はこの秋、陸上界から高校女子No.1中距離ランナーも海を渡る。1500mで高校歴代2位の記録を持つ浜松市立高3年の澤田結弥が、MLBやNFL選手も多く輩出する超名門・ルイジアナ州立大への進学を決めた。これまで女子のトップランナーが海外大へ進学を決めたケースはほぼない。なぜ彼女はその決断に至ったのだろうか。本人にその真意を聞いた。《NumberWebインタビュー第2回/前編から読む》
本格的に陸上競技をはじめて、わずか1年半――。
そんなキャリアで高校2年生の8月に出場したU-20世界選手権1500m6位入賞という結果を残した静岡・浜松市立高の澤田結弥。大舞台の後も、彼女の好調は続いた。
世界大会での結果を受けて、日本陸連からは次世代の育成強化選手であるダイヤモンドアスリートにも選ばれた。また、10月のとちぎ国体では3000mで日本人トップとなる2位。12月の世界クロカン選考会では、高校生ではあまり走る機会のない5000mでいきなり15分台をマークし、世界クロカン日本代表にも選出された。
マルチな種目で活躍する才能を見せ、ここまではまさに順風満帆の陸上生活だった。
年が明けた2023年3月には、世界大会の走りを評価されスカウトを受けたルイジアナ州立大の施設見学にも趣き、アメリカ進学へも前向きな思いが出てきていた。
故障に端を発した高3時の「スランプ」
ところが、年度が替わり3年生に進級した頃から、その好調さに影が差しはじめる。
腸脛靭帯の痛みに端を発したシンスプリント、それが悪化しての疲労骨折など、故障を連発した。なんとか春の県大会、東海大会は突破したものの、満足にトレーニングが積めないなかで高校生活最大の目標にしていた夏のインターハイは欠場することになった。
「やっぱり高校で本格的に陸上をはじめてからはインターハイを一番の目標にやってきていました。そこに出られないということが分かって、一度自分の目標を見失ってしまった感じがあったんです」