メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平は「売り切れ男」、ダルビッシュ有は「義理までワールドクラス」…韓国人記者が語るソウルシリーズ狂騒曲《相乗効果で韓国リーグも完売続出!》
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/03/19 11:04
大谷が新妻・真美子さんを同伴したこともあり、ドジャース到着時の仁川空港には多くの報道陣やファンが詰めかけた
逆に、「最も残念」とキム記者が嘆く要素もある。それが、高尺スカイドームのキャパシティ問題である。
収容人数は東京ドームの4万3500人の半分にも満たないわずか1万6833人。その規模の小ささには韓国国内でも「大谷らスター選手の人気ぶりを受け入れるには小さすぎる」と指摘する声もあるが、「代案がない」というのが実情だという。
「高尺スカイドームは韓国で唯一のドーム球場です。国内には高尺よりも広い屋外型球場はありますが、そこで試合を開催するには、韓国の3月はまだ寒い。現在はソウル以外の地域でもドーム球場建設を進めている段階で、今後さらに良い環境を届けることができると思います。ただ……今回の開幕戦でもっと多くの野球ファンを招待することができればどれだけ良かったか、と思うところはあります」
ソウルシリーズ終了2日後の23日には韓国プロ野球の2024年シーズンが開幕する。国内ではドジャースやブルージェイズで活躍したリュ・ヒョンジンの12年ぶり母国復帰、それも史上最高額となる8年総額170億ウォン(日本円=約19億円)での古巣ハンファ加入が大きな話題を集めた。
そして、今月9日から行われたオープン戦ではハンファが連日全席完売を記録するなど、“リュ・ヒョンジン復帰効果”を早々に享受している。キム記者も、今回のMLB開幕戦を通じて韓国球界が得たいものとして「さらなる“興行効果”」を挙げた。
メジャーの相乗効果で盛り上がる韓国球界
「韓国プロ野球は19日にオープン戦が終了するので、シーズン開幕まで数日間の空白があります。ただ今回、そのスキマを埋めてくれるのがメジャーリーガーたちというわけです。彼らの試合が行われることで韓国プロ野球にもたらされる効果は、確実に大きいと思います。どの国でも同じだと思いますが、野球ファンというのは常に野球を欲し、野球に飢えているものです。だからこそ、史上初の試みとなるMLB開幕戦が韓国球界の興行に及ぼす影響は大きいと私は見ています」
ドジャース一行が到着した15日の昼過ぎ、仁川国際空港は早朝から待ち構えた総勢500人近い報道陣とファンでごった返した。中には前日の夜から待機した強者がいれば、学校を休んでまで駆け付けた野球少年もいる。その過半数を超えるであろう“大谷ファン”は「GOAT(Greatest of All Time)」と名前を組み合わせた「GOATANI」や「野球天才オオタニ、顔天才オオタニ」などのボードを掲げ、スーパースターの来韓に大歓声を送っていた。
エキシビションマッチのドジャース対キウム戦を観戦した韓国の男性野球ファンは、「大谷が打席に立つ姿を見ることができただけで感動です」と感無量だったという。高尺スカイドームに設置されたポップアップストアでは、23万7000ウォン(約2万6000円)の値段が付いた大谷の名前入りユニホームが開場からわずか2時間で全サイズ完売。今回のドジャースとパドレス訪韓による経済効果は、実に2000億ウォン(約224億円)と推算されている。
開幕戦ではK-POPアイドル「EXO」のベクヒョンが韓米の国歌独唱を務め、ガールズグループの「aespa」と「(G)I-DLE」が記念ステージを披露。スタンドではチアリーダーがエネルギッシュな応援を繰り広げる予定だ。まさに韓国仕様に変貌を遂げる空間は、野球ファンにどれだけの熱狂をもたらすだろうか。