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「人生初のひとり暮らしがイタリア」23歳石川真佑の超マイペースな“海外生活”に密着…車の運転、自炊、語学レッスン「一日があっという間」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byTakahisa Hirano
posted2024/03/16 11:01
充実したイタリア生活を語った石川真佑(23歳)。海を渡って早5カ月、車の運転にも慣れてきた
日本では一日オフがあっても、「ここに行きたい、これがしたい、と考えること自体ほとんどない」と話すように積極的に出かけるタイプではなかった。誘われれば買い物や食事に出ることもあるが、基本的には身体を休めることを優先していた。ただ、休日返上で練習する選手がいれば、「自分もやったほうがいいのではないか」と危機感が先立ち、休みたいと思いながらも体育館へ繰り出すことすらあり、「余裕がなかったんです」と振り返る。
イタリアでのひとり暮らしは、時折寂しさを感じることもあるが、周りを気にせず自分がやりたいようにやればいいという気楽さと解放感のおかげで新たな発見や行動にもつながっている。
ミラノへひとり旅、兄の試合を観戦
この2月も、試合がない週末のオフを利用してミラノまで足をのばした。アプリで鉄道の切符を買い、2時間弱のひとり旅。昨年末も訪れていたが、同18日はミラノで行われた兄が出場する試合を観戦した。
「間近で見ると、チームメイトと話している姿とか、ベンチでのコミュニケーションの取り方とか、いろんなことが見えるので改めてすごいな、って。こっちに来なかったら、こんな風に試合を見に行こうとも思わなかったかもしれない。(兄だけでなく)いろんな選手が見られるし、日本にいる時の感覚とはだいぶ違いますね」
ここでは全員がプロ選手で、常に結果が問われる厳しい世界。自分の意見を主張する強さにひるみそうになることがあるが、その一方で思わず呆気にとられる出来事もある、と苦笑する。
「ピアスをつけたまま試合や練習する選手も多いので、ボールが直撃して『痛い!』って叫ぶから練習が中断したり、そのまま抜けたりすることもあるんですよ。日本だったら『外しなさい』で終わりじゃないですか。むしろ外さないのが悪い、って。でもこっちではピアスをつけたいからつけているだけであって、そこにボールが当たって、痛がっていても周りも何も言わない。こういう世界、楽だなって思います」