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ロッテで“超格差トレード”→巨人戦力外→オリックス育成契約…《大阪桐蔭で全国制覇》香月一也が描く下剋上「森さんに良いところを見せたい」
posted2024/03/03 11:03
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
Fumi Sawai
キャッチャー道具を身につけブルペンへ。ブルペンで準備するピッチャーをサポートしたのち、キャッチャー道具を外して今度はサードの守備につき、ファーストにも回る。今年育成契約でオリックスに入団した香月一也は、春季キャンプではとにかく目まぐるしく動き回った。
「やれと言われたポジションはどこでもやるつもりです。大げさに言えば、2月1日から自分はアピールしないといけない立場。キャンプからが勝負だと思っています」
今年でプロ10年目になる。大阪桐蔭時代は2年時に二塁手、全国制覇した3年夏の甲子園では三塁手として出場し、勝負強さとパワフルな打撃で中軸も担った。
ロッテ→巨人→オリックス…3球団を渡り歩く
2015年にドラフト5位でロッテに入団し、20年には澤村拓一とのトレードで巨人に移籍した。だが23年のシーズンは一度も一軍登録されることはなく、オフに戦力外通告を受けた。
「ロッテの時は全てにおいてがむしゃらにやりすぎたというか……。打席に立っても若さだけで何も考えずにバットを振っていたような気がします。守備でもエラーしないようにとは思っていたけれど、そこまで深くは考えていなかったですね」
ジャイアンツに移籍してからは、そんな考え方が一変したという。
「配球のことやピッチャーの特徴をしっかり見て打てるようになったし、すごく成長できたと思っています。ただ……もっと色んなことを深く考えておけば違う結果が出ていたかもしれないですよね」
ジャイアンツでは21年、22年のシーズンで一塁手として一軍での出場機会がありながらも、モノにしきれなかったことを悔やんだ。
ただ、オリックスには香月にとって心強い“味方”がいる。昨季より西武からFAで移籍した森友哉だ。
大阪桐蔭で1年上だった森は香月にとって高校時代から慕ってきた先輩であり、野球人としても尊敬している。ロッテに入団したばかりの頃から当時西武にいた森とプライベートでも食事などに行く仲だった。
「森さんは持っているものは高校の時からずば抜けていましたから、自分が追いつけるかと言われたらそれはなかなか難しいです。森さんってバッティングが凄いのはもちろんですけれど、普段からすごく野球のことを考えているし野球が好きなんですよ。ただ……技術のことで質問をしてもふざけて返ってくることの方が多いんですよね(笑)」