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久保建英の「目をつむった祈り」は届かず失望…現地カメラマンが見た“近いようで遠い初タイトル”「タケら選手たちは打ちのめされた。だが」 

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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posted2024/03/02 17:01

久保建英の「目をつむった祈り」は届かず失望…現地カメラマンが見た“近いようで遠い初タイトル”「タケら選手たちは打ちのめされた。だが」<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

スペイン国王杯マジョルカ戦での久保建英

 19-20シーズンの国王杯を制した際には、コロナ禍のピークと重なり1年近くにわたって決勝の開催が延期された。

 相手はアスレティック・ビルバオであり、バスクの名門同士が争う特別な決勝戦だったが、1年の延期にも関わらず、無観客の中での栄冠獲得だった。常に目の前の1試合が重要なんだと説くソシエダ指揮官が、「特別な試合だ、今度こそサポーターと一緒に決勝の舞台を戦いたい」と明言していたほど。

 それだけではない。ラ・リーガで現状、来季のヨーロッパリーグ出場権獲得圏外である7位のソシエダにとっては、国王杯覇者にも与えられるEL出場権は重要なものだった。リーグ、チャンピオンズリーグ、国王杯を戦うチームは、過密日程と続出する負傷者に悩まされ続けており、準決勝まで進んだ短期決戦のカップ戦にプライオリティーを置くことは現実的な側面もあった。

 また久保という選手個人にとっても、プロキャリア初のタイトル獲得へと強い気持ちで臨んだアジアカップで飲んだ苦汁の記憶は新しい。契約延長を発表したばかりの自身のキャリアのステップアップとなった、このクラブでタイトルを獲得すると気持ちを新たにした中での敗退だった。

久保に対して古巣守備陣がまとわりついた

 2月27日、19時55分。寒気が戻ってきたことで緩んだ身体には射抜くような寒さに感じられた。そんな中で詰めかけた多くのサポーターが、選手バスの到着を出迎えた。発煙筒が焚かれ辺りのビルを赤く染め上げる、この試合の始まりとしては幸先の良いものに思えていた。

 前半、ホームチームがゲームを支配はするが大きな決定機までは作れない、拮抗した展開が続いた。右サイドに開く久保には、相手3バックのマヌエル・コペテ、左WBのジャウメ・コスタがファール覚悟で厳しくまとわりつく。

 前半終了間際、久保がそんなマークを掻い潜り、ディフェンスの間を抜くパスを送る。走り込んだマルティン・スビメンディが放ったクロスが、相手のハンドを誘発しPKを獲得。先制点のビッグチャンスに喜びを露わにする選手たちが印象的に映ったが——前述した通り、得点につなげることはできなかった。

 後半開始早々の5分、左WBコスタのクロスに右WBのジョバンニ・ゴンザレスが飛び込み、マジョルカが先制点を奪う。大外から飛び込むゴンザレスは完全フリーになっており、横幅を大きく使った狙い通りの攻撃だった。

 マジョルカはこの日、守備的な5バックを敷くわけではなく、両WBが運動量豊富に攻守に貢献していた。

【次ページ】 延長前半まで牽引した久保とソシエダの痛恨

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