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「美誠ちゃんがいたから」チームメイトが語った“伊藤美誠への感謝”…「私はリザーブに向かない」発言後、世界卓球で見せた“支える姿”の意味
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2024/02/27 11:00
決勝の中国戦を終え、チームメイトの平野美宇とハグする伊藤美誠
チームメイトが語った「美誠ちゃんがいたから」
張本は試合後、「相手にリードされているところで伊藤選手や監督さんのアドバイスは力になりました」と語っている。
平野も香港戦後に「今日もいてくださったから、自信を持ってプレーすることができました。もちろん渡辺(武弘)監督だったり、チームのみんな、美誠ちゃんがいたから勝つことができたと思います」と話している。
早田は中国との決勝を終えたあと、こう語っている。
「美誠にもアドバイスしてもらったり、ほんとうにいろいろな方のサポートがあって、一つの壁を越えられました」
選手誰もが話す中で感謝を込めて伊藤に触れた。その姿に「伊藤監督」と表現する記事もみられた。
だが、世界選手権までには、さまざまな視線にもさらされた。
「私はリザーブには向かない」発言への批判も
1月の全日本選手権では6回戦で敗れ、シングルスでのパリ五輪代表入りがかなわなかった。
「私はずっとシングルスで優勝することを目標にしていて、(パリ五輪の)団体戦に選出されても出るかどうかはっきり決まっていないです」
シングルスでの代表入りを目標として進んできて、それが終止符を打った直後だ。自然な思いとして違和感を覚えない素直な発言だったが、それに対して批判、非難も相次いだという。
その後、パリ五輪にリザーブ(補欠)として行く可能性について語ったあとも、厳しい声があったという。
「私はリザーブには向かないかなって。なので、たぶん行くことはないと思います」
おそらくは、自分勝手だ、という見方があったようだ。
リザーブに向かない、という言葉については、リザーブに求められる役割の1つである練習相手として、伊藤のプレースタイルが向かない、といった見解もあった。それも1つの有力な見方と言えるだろう。