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「実力でケイスケ…それだけだ」本田圭佑17歳を抜擢、柏レイソル“降格→2年でJ1優勝”…ネルシーニョ73歳「監督を引退する気はない」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada/Nanae Suzuki
posted2024/02/24 11:03
御年73歳となったネルシーニョ。Jリーグで残した実績を振り返れば、歴史に残るべき名将である
「自分としては、もっと成績を上げる自信があった。クラブの決断は残念だった」
――15年からはヴィッセル神戸の監督を務め、この年は12位に留まったものの16年は前期12位、後期2位で総合7位。ただし、17年は9位でした。
「徐々に私の考え方と戦術がチームに浸透しつつある、という手応えを感じていたのだが……」
――そして19年、当時J2に降格していた柏へ復帰して優勝。20年以降、J1で7位、15位、7位という成績でしたが、昨年はスタートダッシュに失敗して5月、13節を終えて2勝5分6敗という成績で退任します。
「2019年は、非常に良い戦いができた。ただ、2020年以降は新型コロナの影響でクラブの財政が悪化し、何人かの重要な選手を失った。何をやっても結果が出なくなり、自分の柏と日本でのキャリアを終えるべき時が来たと考えた」
日本の方向性は正しいが、改善すべき点はある
――日本代表は、22年ワールドカップではグループステージでドイツ、スペインという優勝経験国を倒して首位で突破。ラウンド16では強豪クロアチアに延長、PK戦の末に敗退しましたが、アジア勢では最高の9位でした。ただし、先日のアジアカップでは準々決勝で敗退するなど、まだアジアでも絶対的な力があるわけではない。日本のフットボールが世界トップレベルに到達するには、何が足りないのでしょうか?
「日本代表の進化は目覚ましい。多くの選手が欧州でプレーし、その経験を日本代表へ還元している。大筋として、日本のフットボールの方向性は正しい。とはいえ、まだまだ改善すべき点はある。
選手育成に関しては、アカデミーで優れた選手をもっと多く育てる必要があるし、トップチームの指導者が選手の適性と潜在能力を良く見極めて起用しなければならない。
以前は、日本人指導者は若手選手の起用にかなり臆病だった。近年、その傾向が薄まってきているが、まだ物足りない。年齢や実績にこだわらず選手を起用する判断力、決断力が求められる」
――あなたのJ1での通算勝利数は、215。西野朗の270、長谷川健太(現名古屋グランパス)の243、ミハイロ・ペトロヴィッチ(現北海道コンサドーレ札幌)の238に次ぐ歴代4位で、外国人監督ではペトロヴィッチに次いで2位です。