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大谷翔平のドジャース「球場の売店リーダー“時給2900円”」「キャンプ施設のグラウンド17面」エンゼルス時代から激変…決定的な環境の差
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2024/02/17 11:03
大谷翔平が所属するドジャース。これぞ名門たる「驚きの環境」とは
求人サイトでわかった…「給料差」
エンゼルスの今季開幕時の選手総年俸は、米データサイト「ファングラフス」の推定で約1億8800万ドル、ドジャースは約3億1400万ドルだ。メジャーの選手だけでなくマイナーリーグの選手の格差も大きい。MLBではマイナー選手の賃金と同時に衣食住の環境向上を進めてきたが、エンゼルスは最低限のレベルだという。2022年のマイナーリーグ選手会の調査によると、エンゼルスはマイナーの選手に延長キャンプ期間の給料と個室の住居を与えていない3球団のうちの1つだ。
球団や球場で働くスタッフ(パートタイムジョブ)の給料もそうだ。米求人情報サイト「indeed」によると、エンゼルスは今季、本拠地エンゼルスタジアムで働く「球場案内係」「清掃係」「プロモーション担当スタッフ」「駐車場案内係」などを募集しており、これらはいずれも時給16ドル(約2400円)。ただし試合観戦チケットが年間で12枚もらえるという特典が付いている。ちなみに16ドルというのは、球団が本拠地を置くカリフォルニア州が今年1月から適用している最低賃金だ。
一方、同じくカリフォルニア州に本拠地を置くドジャースは「スタジアムツアーのガイド」が時給16ドル78セント(約2500円)、「慈善事業のための景品付きくじ券販売担当」が時給20ドル(約3000円)、「売店リーダー」が19ドル19セント(約2900円)などとなっている。
ドジャースを大企業のメーカーに例えるとするならば、エンゼルスは小さな町工場なのかもしれない。規模の違いはそれほど違う。
大谷「まとまっている。コンパクトに」
そんな新天地に飛び込んだ大谷が、スプリングトレーニングの初日に広大なキャンプ施設を見て漏らした感想は、いかにも大谷らしかった。
「まとまっている。コンパクトに。必要なものがまとまっていて使いやすい。自分のやることは変わらない」
広大なのにコンパクト。ただひたすら自分にとって必要なことに集中している。しかしそこに巨大な規模のドジャースの力が加わると、一体どんな結果が生まれるのか。我々は今シーズン、それを目の当たりにすることになる。