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大谷翔平のドジャース「球場の売店リーダー“時給2900円”」「キャンプ施設のグラウンド17面」エンゼルス時代から激変…決定的な環境の差 

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水次祥子

水次祥子Shoko Mizutsugi

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posted2024/02/17 11:03

大谷翔平のドジャース「球場の売店リーダー“時給2900円”」「キャンプ施設のグラウンド17面」エンゼルス時代から激変…決定的な環境の差<Number Web> photograph by Getty Images

大谷翔平が所属するドジャース。これぞ名門たる「驚きの環境」とは

 エンゼルスは2017年オフに日本ハムからポスティングシステムで移籍を目指した大谷の獲得に見事成功したが、海外のスカウティング活動に特別力を入れていたというわけでもなかった。大谷の獲得に尽力した当時のGMビリー・エプラー氏は、2015年10月就任前はヤンキースでGM補佐をしており、まだメジャー移籍前の大谷を日本で視察したのもヤンキース時代だったと自身が話していた。メディアガイドによると、「国際担当スカウト」の肩書で名を連ねているスタッフはエンゼルスが20人、ドジャースは33人だ。

 MLBといえば今やデータ分析が大きな比重を占めるが、エンゼルスはそれにも大幅に遅れをとっている。米スポーツメディア「ジ・アスレチック」の昨年9月29日付の記事によると、エンゼルスが分析のために必要なハイテク機器「エジャートロニック」のカメラや「ラプソード」を購入したのは大谷の2年目、2019年になってようやくだったという。エジャートロニックは1秒間に1万7000コマを超える撮影が可能な超高性能ビデオカメラ、ラプソードはボールの変化量や打球角度を瞬時に計測し分析できるマシンだ。また今はメジャー30球団のうち半数は投球や打撃の研究室を持っておりドジャースもその1つだが、エンゼルスには研究室がない。

まさに最先端…スタッフの「肩書」がスゴい

 データ分析や科学的理論によるパフォーマンス向上に携わる人員はどうか。球団のメディアガイドで確認できる限り、エンゼルスでは「パフォーマンス向上担当」の肩書を持つスタッフが1人、野球編成やリサーチ部門でアナリストの肩書を持つスタッフが8人いる。

 ドジャースの場合、野球編成部内の25人以上は分析関係の肩書を持っている。その中には「パフォーマンス・サイエンス」「パフォーマンス・イノベーション研究室」「ピッチング・インテグレーション(調合)・アナリスト」「クオンタティブ(数量)・アナリスト」といった、エンゼルスのフロントにはない肩書が多数。データ分析だけでなく「ストロング・マインド・カルチュラル・ディベロップメント」「ストロング・マインド・プログラム・コーディネーター」といったメンタルのケアを専門とするスタッフも複数いる。選手を肉体、精神両面から細かく徹底的にサポートできる体制が作られているのがドジャースだ。

 2球団の規模の違いは、金銭面にも及ぶ。

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