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「スターダムをクビになって…」人気女子プロレスラーが初告白 ウナギ・サヤカ“超満員の自主興行”に密着して感じた「不思議な風格」
posted2024/02/09 17:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
後楽園ホールに、超満員札止め1230人の観客が集まった。集めたのは女子プロレスラーのウナギ・サヤカだ。1月7日、プロレスの“聖地”で行なわれたのは彼女の自主興行『殿はご乱心~1番金星~』。
ウナギは2022年10月から、スターダムを離れて“ギャン期”と称しさまざまな団体へ。自主興行は1年あまりの集大成だ。マーベラス、ディアナなど女子団体だけでなく男子選手も出場。ウナギは昨夏、ZERO1のリーグ戦に出場し男子との連戦を行なってきた。そうした軌跡が集約されたマッチメイクと言っていい。
メインイベントではウナギが小波と組み鈴木みのる&田中将斗組と対戦。男女ミックスタッグではなく男女対決だ。大会前に公開されたポスタービジュアルも話題になった。鈴木、田中、ファンだけでなく選手たちからもリスペクトされる藤田ミノル、全日本プロレスの専務でもある諏訪魔に“デスマッチのカリスマ”葛西純、“レスリングマスター”ディック東郷とベテランたちがスーツ姿で睨みを利かせ、中央に試合コスチュームを着たウナギ。キャリア5年の選手がベテランたちを“従える”ようなビジュアルは鮮烈だった。
第1試合から“記憶が飛んだ”状態に…
ウナギだからできるマッチメイクの中で、彼女は第1試合にも出場した。とにかくやりたいことをやる、闘いたい相手と試合をする。ギャン期に入ってずっとそうしてきたから、今回もそうした。対戦したのはマーベラスのエース・彩羽匠だ。メインイベントでもおかしくないカードである。
入場ステージには巨大な門松と金屏風。お正月気分そのままというのか、まさに“ハレ”の雰囲気で始まった自主興行は、しかし第1試合から異変に見舞われる。ウナギが試合の中で大きなダメージを負い、いわゆる“記憶が飛んだ”状態になってしまったのだ。
「試合のことは何も覚えてないんですよ。まず大会が始まるまでも気絶するくらいいろんなことをやらなきゃいけなくて。第1試合のゴングが鳴った時点でフラフラで」
自主興行の舞台裏「内側からアゲていって…」
自主興行だから、どんな細かいことでもすべてウナギが決めなくてはいけない。こだわりもあった。たとえばバックステージのケータリング。一つは色とりどりで目にも楽しい駄菓子コーナーで、隣ではラーメンをその場で調理してくれる。これが選手に大好評だった。
「自分がプロレス以外の現場で嬉しかったことを提供したくて。やっぱり舞台裏、内側からアゲていって選手が楽しんでくれたら、自然にいい興行になると思うので」