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大谷翔平が“大トリ”、熱狂のファンフェスタで見えたドジャースの思惑…野茂英雄の時代から変わらない“ファンファースト”というプライド 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2024/02/11 11:02

大谷翔平が“大トリ”、熱狂のファンフェスタで見えたドジャースの思惑…野茂英雄の時代から変わらない“ファンファースト”というプライド<Number Web> photograph by Getty Images

ファンフェスタに笑顔で登場したドジャースの大谷翔平

 選手、監督、コーチ、クラブハウススタッフ、野球編成部門、球場オペレーション、営業スタッフが集まった中、当時のフレッド・クレアーGMが『ドジャーブルーの魂』を説いた。その言葉に感激した野茂は興奮の面持ちで話してくれた。

「選手は自分の最高のパフォーマンスが常に発揮できるように最善の努力をしてください。クラブハウスのスタッフは選手が最高のパフォーマンスを出せるように最高のサポートをしてください。監督、コーチももちろんのことです。そして、スタジアムにお客さんを呼ぶすべてのスタッフはこの球場のサービスがどの球場よりも素晴らしいとファンに思ってもらえるように努力してください。『ドジャードッグがどの球場のホットドッグよりも安くて美味しい』とファンの方に喜んでもらえるように我々は最善の努力を続けます」

 野茂が感激したのはドジャードッグの件だった。彼は話してくれた。

「選手やクラブハウスのスタッフにかける言葉は日本でも同じです。わかるんです。でも、どこにも負けないホットドッグを作る。そしてファンにそこも喜んでもらう。メジャーリーグってやっぱり違うんだなと感じました」

 野球に関わるスタッフは勝利のために、球場運営スタッフはお客さんがドジャースタジアムがナンバーワンだと思ってくれるように。その最善の努力を尽くし、実行するのが『ドジャーブルーの魂』。野茂が最初にオマリーさんから感じ取ったドジャースの精神が具体的にわかった瞬間だった。

ファンフェスタでも見えた、ドジャースのプライド

 あれから30年。経営者は変わってもドジャースのプライドは変わらない。それを交渉の過程ではっきり感じたからこそ、大谷も山本も入団を決めたのであろう。

 2月3日、ドジャースタジアムではファンフェスタが行われた。その際も球団の姿勢がはっきり表れた。

 ドジャースはシーズン中の球場演出にもメジャー屈指の定評がある。過去には日本の球団がその演出法を学びに来たほどだ。球場オペレーションのスタッフはプライドが高く、どこの球場にも負けない演出を日々勉強している。そこには、ロサンゼルスはハリウッドの映画のお膝元、ニューヨークと並びエンターテインメントの本場というプライドもある。だが、自分本位でなく彼らは常に『ファンファースト』の心を持っている。

【次ページ】 ドジャースが整えた最高の準備

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