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大谷翔平が“大トリ”、熱狂のファンフェスタで見えたドジャースの思惑…野茂英雄の時代から変わらない“ファンファースト”というプライド
posted2024/02/11 11:02
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
ドジャース1年生。大谷翔平と山本由伸の春季キャンプが始まった。
20年以来、4年ぶり8度目の世界一を目指す西海岸の雄にとって、2人は欠かすことのできない投打のピースだ。10年総額7億ドルというプロスポーツ界最高契約を結んだ背番号17と、投手としてメジャー史上最高額となる12年総額3億2500万ドルの契約を得た背番号18。両者には責任という名の思い十字架がのしかかるが、日本が誇る2人にとって、それはプレッシャーでなく大きなモチベーションとなるのは間違いない。
2人は常勝、世界一を常に目指すドジャースのマインドに心を打たれ入団した。共に会見で語った言葉にそれが表れていた。
「明確な勝利を目指すビジョンと豊富な球団の歴史をもつロサンゼルス・ドジャースの一員になれることを、心から嬉しく思うと同時に今、すごく興奮しています」(大谷)
「自分の中で本当に勝ちたいという気持ちと、まだ勝ち続けたいというところが自分の中でも優先順位においていた決断の理由でした。そこに一番近いのはドジャースじゃないかなと感じたので決断しました」(山本)
常勝を謳い、世界一を目指す球団は他にもある。今回の契約交渉でも、大谷と山本を誘った勝利にこだわる球団は他にもあった。しかし、2人はドジャースを選んだ。そこには球団創設時から脈々と流れる『ドジャーブルーの魂』に心を打たれたのではないかと感じる。
野茂が感激した「ドジャースのホットドッグ」
筆者が初めてドジャースを取材したのは1995年に遡る。先駆者・野茂英雄が当時のオーナーであったピーター・オマリー氏の人柄と野球愛に心を打たれ、彼は迷うことなく入団を決めた。2月初旬、ドジャースタジアムのオーナーズ・ルームで契約書にサインをしたその日、その場で彼になぜドジャースを選んだのかを聞いた。
「オマリーさんがいたからです」
当時は短い言葉に真意が測りきれないでいた。だが、その意味がはっきりわかったのは、ストライキ解除後、4月に行われたチーム全体ミーティング後のことだった。