核心にシュートを!BACK NUMBER
日本3-1バーレーンの取材エリアで「マイクくん、スーパー!」“動画に映らない”堂安律と毎熊晟矢の好相性…“同意見”がゴールの伏線に
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/01 11:16
アジア杯バーレーン戦で先制ゴールを奪った堂安律。右サイドの縦関係・毎熊晟矢との関係性も良好だ
「彼の良さを出してあげるには、ファーストディフェンダーである自分の思い切ったプレーが必要で。そうしないと、マイクくんも背後(を取られるの)が怖くなって下がってしまう。それでは(相手の)足元に強くいけないので」
アタッカー出身の毎熊は、SBながら中央のエリアでパスを受けて先制点の起点となるミドルシュートを放つなど、攻撃のセンスと戦術理解力がずば抜けている。
ただ、守備については、カバーリングを重視する「Jリーグ仕様」の守り方から、一対一で負けないことを前提に高いラインを保つ「海外仕様」の守り方へのシフトチェンジを進めている最中だ。それをわかっているから、毎熊のために堂安は守備でも走り続けた。それでいて、自分の手柄は隠し、毎熊について記者の前で絶賛してみせた。
「今日は彼がスーパーでした!」
堂安が試合前に必ず作る、一人の時間の儀式
堂安が俯瞰した視点でサッカーを見られる理由を考える時、頭に思い浮かぶシーンがある。
どの試合でもキックオフのおよそ100分前に、日本代表の一行を乗せたバスはスタジアムに到着する。
そこからウォーミングアップが始まるまでの時間をどのように使うのかは、選手に任されている。堂安はいつも、バスが到着してほどなくするとピッチへ出ていく。そして、必ず、一人の時間を作る。
バーレーン戦でもキックオフの1時間25分前に、ピッチへ出た。今回は板倉滉、菅原由勢、南野拓実も同じようなタイミングでピッチに出てきたため、4人でしばらく談笑することになった。ただ、板倉がそこからロッカールームへ向かうタイミングで、堂安もその輪を離れた。
そして、後に自分が先制点を決めることになるサイドのゴールの方へ歩いて行った。しばらくすると、今度は逆サイドのゴールの方へ。その間、ときおり立ち止まっては、上空を見上げる。その両耳にはワイヤレスのイヤフォン。前回のアジアカップでは重厚なヘッドフォンをつけていたから、耳をふさぐデバイスが軽くなった分、スタンドや、そこからのぞく空を見上げやすくなった。
今回の試合前も、気がつけば、ピッチに出てきた選手たちのなかで最後にロッカールームへ向かうことになった。
あの儀式にはどんな意味があるのか。試合後に堂安が初めて明かした。
「あぁ、自分のシュートがゴールネットに入って……というイメージをしているんです。だから、両方(のゴールの方を)見ているんですよ」
そんな試合前の儀式も、ひょっとしたら、助けになっているのかもしれない。堂安が「神」の視点を得るための。