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日本3-1バーレーンの取材エリアで「マイクくん、スーパー!」“動画に映らない”堂安律と毎熊晟矢の好相性…“同意見”がゴールの伏線に
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/01 11:16
アジア杯バーレーン戦で先制ゴールを奪った堂安律。右サイドの縦関係・毎熊晟矢との関係性も良好だ
最近の日本は相手CKの際、マンツーマンディフェンスを基本としている。そのうえで、危険なエリアを守る選手――「ストーン」と呼ばれる――がゴールエリア内に3人配置される。一方、大半の相手はCK時に5~6人がペナルティエリア(PA)に入る。
以上を前提として、初戦となったベトナムとの試合とインドネシア戦それぞれの、相手の1本目のCKの場面を比較してみる。
〈ベトナム戦〉
日本は5人がPAに入ってくると予測していたようだったが、ベトナムは意表をついて6人の選手を送り込んできた。だから、相手の6人目の選手を日本はマークできなかった。それに端を発して、マークがずれ、ヘディングでのゴールを許してしまった。
〈インドネシア戦〉
相手はまず、5人がPAに入った。そして、少し遅れたタイミングで6人目を送り込んできた。日本ではマンツーマンディフェンスを担当する選手が5人に、「ストーン」の選手が3人。久保建英がショートコーナーに備える役割。あの場面で相手の人数を見て自由に動けるのは堂安だけだった。
相手の24番がPA内に足を踏みいれるタイミングで、堂安はその存在に気づき、瞬時にマークについた。目論見が外れたことに動揺したかどうかは定かではないが、インドネシアのキッカーのボールはゴールラインを割り、日本ボールとなった。
反応できないと…ブチ切れられるんですよ
「ああいうところで反応できないと、フライブルクでは監督にブチ切れられるんですよ」
堂安は涼しい顔で振り返る。
所属するフライブルクでは名将シュトライヒがセットプレーを重視しており、過去2シーズン連続でセットプレーからリーグ最多の得点を記録するほど。そんなシュトライヒ監督の下で鍛えぬかれたことも、ピッチを俯瞰して見られるようになった要因かもしれない。
もちろん、ピッチを上から見た絵を想像してプレーするのはセットプレーのときだけではない。
「OK、律!ハーフタイムにゆっくり話そう」
前半42分のこと。プレーが止まったときにテクニカルエリアまで出てきた名波浩コーチに、堂安は声をかけた。
「それまでもボールは受けられていましたけど、(ゴールからの距離が)遠かったんです。前半、自分のシュートは0本ですし。ドリブラーでもない自分がサイドで受けても、特に何もできない状況だった。それにマイク(*毎熊晟矢)の攻撃力もわかっているので、アイツの推進力を活かしてあげたかった。だから、イメージ的に自分はもっと中でプレーしたいと感じていたんですよね」
名波コーチから返ってきたのはこんな言葉だった。