落合博満は中田翔18歳を欲しがらなかった…中日・元スカウト部長が告白する“近年の深刻な貧打”を招いたドラフト戦略の痛恨「間違っていた」

　この年のオフにFAで福留がメジャーリーグへ移籍する。福留の抜けた大きな穴は、西武から和田一浩をFAで獲得することで埋められることになるのだが、落合さんからは「ドラフトでは即戦力バッターを獲ってくれ」とは言われなかった。そもそも、落合さんは誰が抜けるからこういう選手を獲ってくれ、というような言い方はしない人だった。

　この年の高校生ドラフトは仙台育英高・佐藤由規（ヤクルト1位）、成田高・唐川侑己（ロッテ1位）、大阪桐蔭高・中田翔（日本ハム1位／現巨人）が『高校生ビッグ3』と言われていた。

大阪桐蔭時代の中田翔　©Shigeru Tanaka

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落合博満「中田はダメだぞ」

　この突出した3選手の中から中日が1巡目に選んだのは佐藤だった。だが、5球団競合となり抽選で外した。外れ指名では市立船橋高の長身右腕、岩嵜翔（現中日）を指名したがここでもソフトバンクと競合して外した。

　前述の通り、落合さんは就任以来「右の四番候補」を育てたいと考えていた。スカウトにも「頭に置いておいてくれ」とも言っていた。だから中田1位ということも当初は私の頭にもあった。

　だが、私は純粋に「投手・佐藤」と「打者・中田」を比較して佐藤を評価した。落合さんも「中田でいってくれ」とは一言も言わなかった。むしろ、スカウト会議の席で中田の名前が出ると「中田はダメだぞ。うちはそういうタイプの選手はダメだからな」と念を押していたくらいだ。

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