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佐々木朗希22歳「大谷翔平やダルビッシュ、山本由伸らとのNPB成績比較」で明確な差…早急なメジャー志向は“不利な契約”の懸念あり 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/01/26 06:00

佐々木朗希22歳「大谷翔平やダルビッシュ、山本由伸らとのNPB成績比較」で明確な差…早急なメジャー志向は“不利な契約”の懸念あり<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

WBCメキシコ戦での佐々木朗希。持っているポテンシャルは超特大なだけに……。

 1年目は投げなかったので実働3年であり、登板数は大谷の半分強の46試合。投球回数、投球数も大谷の半分前後である。

 佐々木を除くこれらのエース級の投手は、全員1シーズンで2000球以上投げた経験がある。二刀流の大谷翔平も、2014年には2538球を投げている。

まず「シーズン通してのローテ維持」を経験しては

 しかし佐々木は2022年に1804球を投げたのが最多。この顔ぶれの中では、唯一規定投球回数に乗ったことがない。

 仮に2024年に25回先発して170回を投げて規定投球回数に乗り、球数が2700球前後になったとしても、通算では450イニング前後、総球数は7000球ほどであり、そうなったとしても大谷翔平よりもかなり少ない。

 MLBでは先発投手は30試合前後登板して6~7回を投げる。投球回数は180回前後、球数は2800~3000球になる。NPBでシーズン2000球も投げたことがない佐々木が、いきなり3000球を投げるのは厳しいのでは――と推測される。

 個人的には2シーズン続けて「シーズンを通してローテを維持する」ことを経験すべきではないかと思う。

契約面で“弱小球団の先物買い”になってしまうのでは

 また、ポテンシャルがあるのは間違いないにしても「シーズンを通してローテを維持した経験が一度もない投手」に、主要MLB球団が食指を伸ばすとも考えにくい。いわゆる弱小球団が「先物買い」とばかりに飛びつく可能性はある。しかしその場合、足元を見られて、山本由伸らに比べて条件は相当悪くなるのではないだろうか。

 そもそもMLBには25歳未満の選手との契約に使える金額は、契約金や年俸など込みで、年間500万ドル(約7億円)程度に制限され、マイナー契約からスタートするというルールがある。大谷翔平もこれが適用されてマイナー契約での入団だった。

 この取り決めは2026年まで有効であり、佐々木がこの条件をクリアするには2026年オフまで待たなければならない。あと3シーズンは厳しいと思うので、大谷同様25歳未満での移籍にはなると思うが――それを踏まえてもあと2年は実績を積むのが得策ではないか。

「佐々木はMLBに行って最初からフル回転する必要はない。徐々にイニング数を上げて、アメリカの野球に慣れていけばいいのではないか」

 という声がある。ただ、そういう試運転段階の選手ならば、MLB球団はマイナー契約を結ぶだろう。

【次ページ】 恩義ではなく、総合的な判断としてNPBで…

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