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佐々木朗希22歳「大谷翔平やダルビッシュ、山本由伸らとのNPB成績比較」で明確な差…早急なメジャー志向は“不利な契約”の懸念あり
posted2024/01/26 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Naoya Sanuki
近頃、砲声が喧しい「文春砲」だが、それはプロ野球界にも及んでいる。『週刊文春』が、現時点で契約更改をしていないロッテの佐々木朗希が昨年、プロ野球選手会を退会していたと報じた。
大前提として、今後の情勢は流動的である。その中で気になるのは〈佐々木朗希が2024年オフに、ポスティング制度を使ってMLB移籍がしたい〉という点である。
イチロー、ダル、大谷、由伸らの「ポスティング」を知る
ポスティングとは、海外FA年限に達していない選手が、MLB球団に移籍するシステムである。これは所属球団の承認を得るのが前提だ。球団からNPBのコミッショナーを通して、MLBのコミッショナーにその選手が契約可能であることを告知(ポスティング)し、MLBコミッショナーがこれを30球団に通知、翌日から45日間の交渉期間が設けられ、譲渡金に応札するMLB全球団が当該選手との契約交渉を行う。
そのうえで移籍する球団が決まれば、MLB球団は移籍する選手の契約額に応じてポスティングフィー(譲渡金)をNPB球団に支払う。
1998年に設けられて以降、細かな部分は改定されたが、基本的な仕組みは変わらない。
これまで、2001年のイチローをはじめ、石井一久、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太、大谷翔平、山本由伸などNPBのトップクラスの選手がポスティングで移籍している。
MLB移籍には「海外FA権の行使」という手段もあるが、こちらは「9シーズン」という年限がある。千賀滉大や来季からパドレスで投げる松井裕樹らが海外FA権を行使して移籍したが、若いうちに有利な条件でMLBに移籍できるポスティングの方が望ましいと考える選手が多い。また球団の中にも〈巨額のポスティングフィーを得ることができるので、どうせMLBに送り出すならポスティングで〉という考えもある。
今オフの山本由伸のドジャース移籍に際しては、オリックスに70億円以上のポスティングフィーが支払われるという。一方でソフトバンクのように、ポスティング制度を利用しない方針の球団もあるが――。
24年オフ、朗希と大谷MLB移籍時の年齢は同じだが
さて、佐々木朗希である。