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佐々木朗希22歳「大谷翔平やダルビッシュ、山本由伸らとのNPB成績比較」で明確な差…早急なメジャー志向は“不利な契約”の懸念あり
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2024/01/26 06:00
WBCメキシコ戦での佐々木朗希。持っているポテンシャルは超特大なだけに……。
佐々木は大船渡高校3年時に163km/hの剛速球を投げて一躍注目された。ただ大船渡の國保陽平監督(当時)は身体的に未熟であるとして、2019年夏の岩手県大会の決勝戦で佐々木の登板を回避。結果、大船渡は甲子園に出場できなかったため、大きな議論となった。
この年のドラフトで、佐々木は4球団競合を経て千葉ロッテマリーンズに入団が決まる。ロッテの吉井理人投手コーチ(現監督)は、筑波大学大学院で学んでおり、屈指の逸材である佐々木を慎重に育成した。1年目はファームも含めて登板させず、基礎体力の強化を図った。
2年目に一軍デビューを果たすと、3年目の4月10日のオリックス戦で完全試合を達成。最高球速は165km/hに達し、2023年にはWBC優勝メンバーの一員に。大谷翔平、山本由伸に続く「日本最強投手」として、ポスティングでのMLB移籍は既定路線と目されている。
ただ、問題は「いつ移籍するのか」ということだった。
今年の11月3日で23歳となる佐々木朗希は、2020年入団だから2024年で5シーズン目。2013年に日本ハムに入団した大谷翔平が5年目の2017年オフ、ポスティングでエンゼルスに移籍したのと同じタイミング、年齢になる。
ではあるが、NPBでの実績という点で両者は大きく違う。
ダル以降の主要先発投手の“日本での実績”を比較
ダルビッシュ有以降の、NPBからMLBに移籍した主要な先発投手の移籍直前のNPBでの実績と、現時点での佐々木朗希の通算成績を比較する。千賀滉大は海外FA移籍。他はポスティング。球数は公式戦のみ。
・ダルビッシュ有
7年 167試 93勝38敗 1268.1回 17612球
・田中将大
7年 175試 99勝35敗 1315回 19579球
・前田健太
9年 218試 97勝67敗 1509.2回 23388球
・大谷翔平
5年 85試 42勝15敗 543回 8730球
・菊池雄星
9年 158試 73勝46敗 1010.2回 16647球
・千賀滉大
12年 224試 87勝44敗 1089回 17831球
・山本由伸
7年 172試 70勝29敗 897回 13554球
・佐々木朗希
4年 46試 19勝10敗 283.2回 4163球
ダルビッシュ有や田中将大、前田健太はNPBで100勝近くを挙げたうえで移籍した。投球数も2万球を超えている。菊池雄星、千賀滉大らも1万5000球を超えている。
朗希は“二刀流の大谷”よりも投球数が少ない
そんな中で大谷翔平の5年42勝、8730球は飛びぬけて少ない。ただそもそも彼は二刀流であり、一般の先発投手より登板間隔は長く、投球数も少ない傾向にあった。今オフにドジャース移籍が決まった山本由伸は、大谷に次いで球数が少ないものの、1万3000球を投げている。
しかし佐々木朗希は――これら先発投手と比べて実績に乏しい。