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「日本で無敵のままメジャー」山本由伸はドジャースで成功するか? ダルビッシュ、田中将大の“成績”からズバリ予想「サイ・ヤング賞の現実味」
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byJIJI PRESS
posted2024/01/25 11:04
来季からメジャーでプレーする山本由伸
田中、前田の成績からわかるように、メジャーの打者は「三振かホームランか」という傾向が強いと言えるだろう。
ダルのメジャー1年目「奪三振率◎、四球が増えた」
では、他の日本人投手はどうか。山本に最も近いタイプの投手としてダルビッシュ有が挙げられる。
ダルビッシュは、野村克也氏がその著書『プロ野球 最強のエースは誰か』(彩図社)の中で<150キロ台後半のストレートを持っているにも係わらず、状況に応じて本格派の投球も、技巧派の投球もできる。七色の魔球を持ち、その全てが一級品。どのボールでもストライクが取れる。野球頭脳も優秀。試合中に、状況に合わせて投球を変えることができる。投手としての能力は、ほぼ完ぺきに近い>と絶賛しているが、この評価はそのまま、山本にも当てはまるのではないか。「25歳でのメジャー移籍」も山本と共通している。
そんなダルビッシュの日本最終年とメジャー1年目の成績を比較してみよう。
【2011年/日本ハム時代】
登板28、勝敗18-6 、勝率.750、投球回232、被安打156、被本塁打5、奪三振276、与四球36、失点42、防御率1.44、WHIP0.83
【2012年/レンジャーズ1年目】
登板29、勝敗16-9、勝率.640、投球回191.1、被安打156、被本塁打14、奪三振221、与四球89、失点89、防御率3.90、WHIP1.28
田中、前田と同様、被本塁打数が増えた。さらにダルビッシュの場合、与四球も36→89に大きく増加している。ただし、メジャー1年目の被本塁打率0.66は、田中の0.99、前田の1.02に比べてはるかに低い。1試合当たりの被安打数7.34も、田中の8.12、前田の7.69より低く、逆に奪三振率は3人の中で最高の数字である。
にもかかわらず失点と防御率で劣った理由に、四球数の多さが考えられる(1試合あたり:ダルビッシュ4.19、田中1.39、前田2.56)。パワーヒッターがずらりと並ぶメジャーの打者相手に、ある程度被本塁打数が増えるのはやむを得ない。ただ同時に、四球数を増やしてもいけない。その点、山本の武器に落ちる球がある。低めのフォークで、打者を攪乱できるか。このあたりが、今季の山本の成績を左右するポイントになりそうだ。
昨季メジャーの“最強投手”どんな成績?
では、山本に期待したい「サイ・ヤング賞を狙える成績」とは、どのようなものか。山本の昨年のオリックスでの成績と、昨年サイ・ヤング賞を受賞したブレイク・スネル(パドレス→現FA)の成績を比較してみよう。山本は日本、スネルはメジャーの成績比較ゆえ、あくまで参考としてご覧いただきたい。