熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
浦和レッズ伝説FWの引退後「政治は金がかかるね…」ブラジルで議員→スポーツ長官に転身のワケ「草サッカーチームの名はウラワ・レッズだ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2024/01/22 11:03
浦和レッズ時代のユニフォームを着用したワシントン(48歳)
「州内各地を回り、予算を効果的に使ってスポーツをさらに振興させようと努力している。対象は、フットボールだけではなくすべての種目。人々の生活の質の向上に役立てる仕事であり、とても充実した毎日を送っている」
ブラジルと日本のフットボール強化、スポーツ振興のために
現役引退後、フットボールクラブの監督や強化部長、会社経営、政治家(市議会議員、下院議員)、スポーツ長官(国、州、市の各レベルで)、レストラン経営、フットボールのテレビ解説者と実に様々な仕事をしてきた。
そんなワシントンは現在、48歳となった。
「今後、自分がやりたいこと? チャンスがあれば、色々なことをやってみたい。とはいえ、自分はあくまでもフットボールの世界の人間だ。ブラジルのクラブの監督や強化部長を務めたい気持ちもあるし、Jリーグのクラブの監督を務めたり、強化を担当したり、費用対効果の高いブラジル人選手を送り出すことにも興味がある。ブラジルには、優れた能力を持ちながらまだまだ国際的には知られていない選手が大勢いるからね。
政治家? 世界中どこでもそうだと思うけど、政治には金がかかるからね……。いずれにせよ、自分の能力を最大限に発揮して、ブラジルと日本のフットボールの強化、スポーツ振興のために力を尽くしたいと考えている」
草サッカーチームの名前は「ウラワ・レッズ」
ワシントンは、今でも浦和レッズのファンから絶大な人気がある。昨年末、サウジアラビアで開催されたクラブワールドカップの試合を現地で観戦し、3位決定戦の前に浦和の一行が滞在するホテルを訪れて選手たちを激励したことは、浦和のファンを感激させた。
本人も「浦和のようなクラブ、浦和のようなサポーターは他にない。私にとって、永遠に心のクラブだ」と語る。自身が運営する草サッカーチームの名前は、「ウラワ・レッズ」。ユニフォームは赤が基調で、左胸に浦和のエンブレムを模したマークが付いている。
2日間、アラカジューでインタビューをさせてもらったが、彼はどこへ行っても大変な人気者。常に人々に取り囲まれ、写真撮影やサインをせがまれていた。
地元の人たちからは、「偉大な選手だったのも素晴らしいが、数々の困難を克服してキャリアを切り開いた点が尊敬に値する」という声を聞いた。
彼は、母国でも人々から深く敬愛されている――。そのことを強く感じた日々だった。