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浦和レッズ伝説FWの引退後「政治は金がかかるね…」ブラジルで議員→スポーツ長官に転身のワケ「草サッカーチームの名はウラワ・レッズだ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2024/01/22 11:03
浦和レッズ時代のユニフォームを着用したワシントン(48歳)
また将来、フットボールの指導者になることを視野に入れ、仕事の傍らブラジルサッカー連盟の指導者コースを履修。ライセンスを取得していった。
小クラブの監督、スポーツ長官、シュラスコ料理屋も
2014年、市議会議員に復帰し、2016年末までの任期を全うした。その後、地元の有力政治家に勧められて下院議員の選挙に立候補したが、惜しくも次点に留まった。2017年、外務省を定年退職した父親が住んでいた北東部アラカジューへ移り、2017年末から2018年前半にかけてセルジッペ州の2つの小クラブの監督を務めた。
「小さいクラブで、予算が限られていた。仕事そのものは興味深かったが、クラブの方針がクルクル変わるのに悩まされた」
2018年11月、下院議員の空席が出たため繰り上げ当選。2019年1月末まで3カ月間ではあるが、下院議員を務めた。そして、2019年4月、ジャイール・ボルソナーロ大統領(当時)からスポーツ長官に任命された。この年の11月、アラカジューにシュラスカリア(ブラジル風焼肉「シュラスコ」を提供するレストラン)をオープンしている。
「シュラスコはブラジル南部が本場で、シュラスカリアも多い。しかし、北東部には少ないので、ビジネスチャンスがあると考えた」
2019年末、ブラジルサッカー連盟(CBF)のフットボール振興部門の役員に任命された。ところが、2020年2月、思いもかけない出来事があり、解任されてしまう。
コパ・ド・ブラジル1回戦で、かつて自身がプレーしたカシアスがホームでリオの強豪ボタフォゴと対戦。試合前、クラブ出身の名選手として表彰を受けた。
その後、カシアスのベンチから近い場所で試合を見ていたところ、前半、カシアスにPKが与えられておかしくない場面で主審が流してしまった。ワシントンは、その場面を録画した携帯の場面をカシアスの関係者に見せた。この行為が「CBFの役員としては不適切」と判断され、就任後3カ月足らずで解任されたのである。
「自分自身、軽率だったとは思う。反省して関係者に謝罪したのだが……」
人々の生活の質の向上に役立てる仕事だ
その後はシュラスカリアの経営に専念したが、2020年3月に新型コロナウィルスの感染が拡大。店を一時的に閉店せざるをえなかった(注:その後も経営状態が好転せず、2022年10月に閉店を余儀なくされた)。
2017年7月からはテレビ局の解説者となり、コパ・リベルタドーレスやリオ州選手権の試合の解説を始めた。また、2022年4月から12月まで、アラカジューに本拠を置く中堅クラブの強化部長を務めた。
その一方で、地元の政治家に勧められて上院議員選挙に立候補したが、惜しくも落選した。そして、2023年1月、セルジッペ州知事から州のスポーツ長官に任命され、2年目に入ったところだ。