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本田真凜22歳「笑顔の引退会見」までにあった誹謗中傷、浅田真央の言葉…「(試合に)もう出たくない」葛藤を乗り越えた20年のスケート生活
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2024/01/14 17:02
1月11日、引退会見を行った本田真凜(22歳)
今後もスケートに向き合い続ける
競技生活に終止符を打った今、本田は語る。
「これだけ長く続けてきて一度も逃げ出さずにやりきれたということは自分の今後にとっても生きてくるなと思いますし、いろんなことを乗り越えてこれたからこそ、今後どんな困難があったとしても、今の私は乗り越えていけるんじゃないかなと思っています」
競技生活から退いても、スケートと向き合うことに変わりはない。
「私は本当に今スケートが大好きで、スケートが大好きなまま競技を終えることができて、これからも私の演技を楽しみにしてくださっている皆さんに素敵な演技をお届けしたいな、でスケートを頑張っていきたいと思っています」
13歳だった9年前、フィギュアスケートについてこう語っている。
「フィギュアスケートは、技術、表現のどちらも大事です。スケートというのは、もともとジャンプとかはなくて滑りだけの競技だったのに、いつの間にかジャンプなどができていたんです。ですからジャンプだけではなく、プログラムを1つのストーリーとしてお客さんに伝えられたら、ジャンプが失敗してもストーリーが途切れないような演技ができたらいいなと思います」
「スケートが好きだし、幸せだと思っています」
スケーティング、ふとした動作にも表れる繊細さとともに醸し出される表現力。そんな魅力はアイスショーの世界でより輝かせることができるはずだ。
何よりも、多くの応援があることを感じとれること、種々を乗り越えてたどり着いた心持ちがこれからの糧になる。重圧や葛藤と向き合った時期に触れつつ、心からの笑顔で語る。
「その当時の私より今の方がスケートはすごく好きですし、幸せだと思っています」
これ以上の言葉は、ない。