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青学大、1区「9位」からの逆転劇…“最強”駒大と35秒差、1区2年生が語っていた“逆転の条件”「僕の後にまだ4人、明日は5人いる」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/04 06:00
1区を走った荒巻朋熙(2年)。「3区が終わった時点で、駒大に先行したい」という原晋監督の戦前のレースプラン。ポイントとなったのが「1区」だった
「冷静になると、35秒ほど差はついてしまいましたけど、めっちゃ離れることはなかった」
明日終わるまでは…反省はそれからします
気温が5度を下回る中、21.3kmを駆け抜けた20歳は「悔しさ」について問われると、唇を震わせながらも前を向き、キッパリとこう言い切った。
「個人としてはちょっと悔しかったですけど、今日まだ4人いるので。そして明日は5人いるので。明日終わるまでは優勝目指して、応援したいと思います。反省はそれからします」
悔しさがなかったわけではない。ただ、それ以上に後へと続くランナーへの信頼があった。2区以降を走る4人の中で、同じ大牟田高校(福岡県)出身の1年先輩、太田蒼生(3区)への期待を聞くと、こんな力強い答えが返ってきた。
太田さんは「流れを変える走りができる」
「太田さんはゲームチェンジャー。本当にスター気質があるので、流れを変える走りができるんじゃないかなと思っています」
そう告げると、悲壮感を漂わすことなく、急ぎ足で中継所を飛び出していった。
果たして太田は3区で逆転して首位を奪取。そのままトップを譲らず青学大は総合優勝を達成した。箱根で輝いたスターは総合優勝後のインタビューでこう語っている。
「僕のところで先頭には立ちましたけど、1・2区の後輩たちがいい位置で持ってきてくれたので、あとは僕が仕事を果たすだけでした」
2区・黒田から戸塚中継所で待つ太田に襷が渡ったとき、その差は22秒だった。
<《2区》編とあわせてお読みください>