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「このままだと、大きな事故が起こりかねない」飯伏幸太が“危険なプロレス”に警鐘を鳴らす理由…丸藤正道との“夢のカード”で何を見せるのか?
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byGantz Horie
posted2023/12/31 17:01
2024年1月2日「NOAH “THE NEW YEAR” 2024」にて丸藤正道との対戦が決まった飯伏幸太
“試合順論争”への本音「まったく何も思わない」
こうして実現する飯伏幸太と丸藤正道の一騎打ち。NOAHの12.2横浜武道館大会に飯伏がサプライズ登場して、この試合が正式に発表されると大歓声が巻き起こったが、その直後、1.2有明アリーナのメインイベントとなることが判明すると、流れが変わった。
NOAHの最高峰のタイトルマッチであるはずのGHCヘビー級選手権(拳王vs征矢学)がセミファイナルとなったことに王者・拳王が反発し、ファンの間でも賛否両論が巻き起こり、それは今も続いているのだ。
「僕的には、試合順なんてまったくどうでもいいことなんです。僕は何試合目に組まれたとしても、メインイベントだと思ってやっているので。なんなら第1試合で僕と丸藤さんがやって会場を爆発させて、そのままの流れでいっても興行的にはいいんじゃないかと思ったりするので、試合順に関してはまったく何も思わないです。
みんながなんでそんなに試合順にこだわっているのか、僕にはわからない。僕はデビューしてから毎回、『絶対に自分が今日いちばんいい試合をしてやる』と決めて臨んでいたので。今の人って、第1試合はこう、中盤はこう、メインはこうって、勝手に頭の中で決めてしまってるのかなって思っちゃいますね。
僕は今年、イギリスのウェンブリースタジアムでやったAEWのビッグマッチ(8.27『ALL IN』)で8万1000人の前で試合をして、自分とケニーとハングマン・ペイジが組んで、ジェイ・ホワイト、ジュース・ロビンソン、竹下(幸之介)と対戦するメイン級のカードだったんですけど、試合順は第2試合だったんですよ。でも、僕はメインのつもりで闘ったし、たとえ第1試合に組まれたとしてもいちばん盛り上げる自信もありましたから」
「丸藤さんとの試合でプロレス界全体の流れを変えたい」
そして飯伏はNOAHの選手たちにこうメッセージを送る。
「これは若手選手も含めて『自分が絶対いちばん印象に残る試合をするんだ』っていう気持ちだけは持ってほしいです。1.2有明アリーナでも、『自分らの試合を食ってみろ!』って思うし、プロレス界の未来を考えたら食ってほしい。“真のメインイベント”っていうのは観に来たお客さんが決めるものなんだから。試合順に文句があるなら、『セミファイナルのGHCタイトルマッチがやっぱりいちばんだったな』って言わせればいい話なわけで。僕はそこに対して何も思ってないし、プレッシャーにもなってない。丸藤さんと、自分が考える新しいプロレスを見せるだけです。ただ、興行全体は成功させたいと思ってるので、みんなそれぞれがいちばんの試合を目指して、一緒にがんばろうよって感じですね」
思わぬ“試合順論争”に巻き込まれた飯伏だが、今はもう丸藤戦に集中している。
「先ほども言いましたけど、僕は丸藤さんとの試合でプロレス界全体の流れを変えたいと思ってます。メインイベントでもこんなことが起こるのかと思うような試合かもしれないし、どんなことが起こるかわからないけど、絶対に普通ではない、当たり前ではない試合になると思ってます。ファンの人たちにその新しい体験をしてもらうためにも、ぜひ会場に来てほしいんですよ。映像を通してでは伝わりきらない、生の空気感っていうのは絶対にありますから。生で観てほしい、それが僕からの願いですね」