「STRONGにコモモ（向後桃）や壮麗亜実が挑戦してきた。ケンカの売り方は下手クソなんだけど、実際に行動する選手がもっといていいと思う。プロレスラーが敷かれたレールの上を歩くだけ、なんてつまらないでしょう。自分が先頭に立って、レールを敷いてやるからついてこい！　くらいにならなきゃ。SNSで叩かれたり、周りからは文句も言われるけど、それで折れちゃいけないですよ。みんな『これを言ったらSNSにこう書かれる』という恐怖心があると思います。対戦相手よりも、目に見えないものにビビってるんじゃないかな。私も自分でたまに『これ言って大丈夫かな』と思ったりはしますけど、そんな細かいことは戦う以前の話。外野の声なんかほっとけ（笑）。覚悟と信念があれば大した支障はない。恐れることはない」

「プロモーションももちろん大事。でも…」

　女子プロレスはこれからどうあるべきか――そんなことに思いを馳せることも増えた。

「スターダムになんとなく違和感を覚えたころかな。せっかく大きくなってきているものが少しずつ消えかかっている、そんな気がした。プロレスに出逢って、少しの影響力を持っている今だからこそ、返していく時だと。私は女子プロレスをもっと身近な娯楽にしたい。時代は違うんでしょうけれど、チケット代が500円、1000円といった時代もあったと。やっぱり子供たちがプロレスラーになりたいと思えるようなものでないとね。会場に若いお客さんを呼び込むことは大事だと思います。プロレスの未来のために」

　プロレスの何を、どんなふうに見てもらいたいのか。ジュリアには、井上貴子の言葉で響いたことがあったという。

「私たちはアイドルやっていたけれど、こっちが、リングがメインだから。これができた上でのアイドル」

　そんな井上の信念を踏まえて、こうつぶやいた。

「プロモーションももちろん大事だと思う。かわいさや美しさも、あるに越したことはない。でも我々が本来やるべきことはリング上での真剣勝負。当たり前のことなんだけど、お客さんに見てもらうために必死で鍛えないと。それがあってのプラスアルファ。一番大事なことを見失っちゃいけない」

　最近はずっとプロレスの動画を見ているという。以前は趣味を作るために奔走していたジュリアだが、今はもっぱらプロレスに熱中する日々だ。「じゃあ、趣味はプロレス？」と水を向けると、こんな答えが返ってきた。

「前はね、他の人の『趣味はプロレスです』っていう答えを、つまんねえこと言ってるなあ、クソつまんねえなと思っていたのに。今は自分がそうなっている（笑）」