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「スターダムの大ピンチ」にジュリアは何を思う? ホンネで語る“プロレスで一番大事なこと”「外野の声なんかほっとけ(笑)」《特別グラビア》
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2023/12/26 17:02
新日本プロレスのSTRONG女子王座のベルトを保持するジュリア。12月29日の両国国技館では同ベルトをかけてメーガン・ベーンと対戦する
「あの日はもともと赤いベルトのタイトルマッチ(中野たむvs.鈴季すず)があったのになくなってしまって、欠場者もたくさんいて。予定されていたタイトルマッチが無くなる、そもそもチャンピオンが興行にいないという、スターダムの大ピンチ。そんな中でも来てくれたお客さんに対して、私の見せたいものはゲーム的なものではなかった。ゲーム的な試合がダメだ! と言っているのではありません。羽南や飯田(沙耶)とか、テクラ、桜井(まい)。突き抜ける可能性を秘めている選手たちにベルトをかけた真剣勝負をやらせたら、力を発揮できるいいチャンスだったんじゃないかなって。もう終わった話ですけどね。今後に期待です」
“お騒がせ女”の葛藤「噛みつくべき相手がいない」
スターダムの中で連鎖するように数を増やした負傷者は徐々にカムバックしてきている。スターライト・キッド、上谷沙弥、林下詩美はすでにリングに戻ってきた。
「けが人が多いことも、チャンスだと思えばいいんじゃないかな。今まだ若手だったり、埋もれかけたりしている奴は、よだれ垂らしながら大声で『よっしゃ、ラッキー!』って言ってやればいいんですよ。スターダムの問題点は欠場者が多いだけじゃない。この揺らいだ状況に飲まれてはいけない。流されやすく、批判を恐れて踏み出した事が言えない人は多い。レスラーだったらもっと我を出せと思う。どんなにピンチな状況でも、盛り返せばいい。『やってやんよ!』って気持ちで楽しめばいいんだよ。その方が燃えるでしょ? 今をどう生きるかですよ。立ち止まって、みんなの顔色を窺っている場合じゃない。食らいついていくしかないんですよ」
ジュリアはハードな環境で生き抜く術を知っているようだ。
「こう見えて私もいろんな修羅場を潜ってきた方だから(笑)。ピンチであればあるほど、伸びしろは大きいと分かっています。ダメであればダメであるほど、『這い上がってやるよ』って信念がなきゃね。目的が明確な人は強いと思う」
筆者は最近、ジュリアがおとなしくなったように感じていた。だが、ジュリアが静かになったのではないという。
「私が噛みつくべき相手がいないんですよ。おとなしい子が多いですよね。『もっと来いよ』と。スターダムに来たばかりの時は敵意剥き出しな奴ばっかりだったから、こっちも噛みつき甲斐があった。最近はどうかなぁ? 私はいつでも準備できてますよ」
突き上げの少なさへの不満。さらに、自分自身の立場の変化も感じていた。
「レスラーとしての部分と、人間としての部分。上に食い込みたい一心だった頃とは状況が全く違う。でも大人になるところはなって、子供のままでいいところは残しておきたいですね」
さらにジュリアは「対世間」についての考えを語った。