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「卒業後は芸能界?長距離は本気で続ける?」大学生ランナー北川星瑠22歳が語る“ホンネの進路”…「陸上競技者に失礼だ」批判への思い 

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荘司結有

荘司結有Yu Shoji

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photograph byL)AFLO、R)Takuya Sugiyama

posted2023/12/29 11:05

「卒業後は芸能界?長距離は本気で続ける?」大学生ランナー北川星瑠22歳が語る“ホンネの進路”…「陸上競技者に失礼だ」批判への思い<Number Web> photograph by L)AFLO、R)Takuya Sugiyama

ワールドユニバーシティゲームズで金メダルを獲得、松竹芸能への所属でも話題を集める大阪芸術大の北川星瑠(4年)

実業団も二刀流を公認「芸能活動も頑張ってほしい」

「これは小出監督も言っていたのですが、高橋尚子にしろ、マラソン選手って内臓が強いのが一番なんです。あの子の場合、負荷をかけた練習や試合で追い込んだ後でも食べられる。笑い話なのですが、彼女が1年生のとき、ホクレンで自己記録が出たのでご褒美にジンギスカンを食べにいったんです。たしか食べ放題が3900円だったかな、でも彼女は単品でいいと言うから……そしたらいくら食べたと思います? ひとりで6000円分ですよ(笑)。あれは生まれ持った内臓の強さですね」

 そう笑って振り返る中瀬監督。「彼女は速いというより強い選手。どんなコンディションでも走れるし、勝負どころも分かっているからマラソン向きですね」と続ける。

「本来なら大学の間に仕上げることも可能でしたが、あえて伸びしろを残して送り出します。というのも、今までの経験から特に女子選手は2年間自己記録が出ないと『ピークが過ぎた』と思って辞めちゃうんです。日本の宝だと思っていた選手が、脂が乗る前に辞めてしまうのは本当にもったいない。なので彼女の場合は生理もちゃんと管理してきましたし、1年ずつ段階を踏んで伸びるように調整してきました」

 確かに北川は毎年着実に自己記録を塗り替えて、成長を重ねてきた。指揮官の丁寧な導きもあり、ユニバの存在すら知らなかった彼女は、競技者として徐々に視座を上げてきた。ユニバーサルエンターテインメントではマラソンで勝負するつもりで、チームからも「芸能活動も頑張ってほしい」と二刀流を公認されているという。

「陸上一本で頑張っている人に失礼だ」批判に本人は…

 彼女の異例の挑戦について、大多数は好意的に受け止めており、本人も「フォロワーが1000人近く増えました」と驚く。ただ、その一方で、彼女のもとには厳しい意見も届いていると明かす。

「たとえば『陸上一本で頑張っている人に失礼だ』とか、今の状況で二刀流というのは『お前ごときで』みたいな声も目にしています。でも、そういう方たちに応援してもらうには、結果を出さなきゃいけないともちろん分かっているので。厳しい意見も力にして、バネに変えて活動していこうと思っています」

 明るいキャラクターが魅力の北川だが、その言葉の端々からは、指揮官が資質を見出した負けん気の強さ、たくましさが感じ取れる。中瀬監督も「本来は競技で活躍して、引退してから仕事が増えるのが理想」と言うが、彼女にとって芸能活動が競技の糧になっていることも感じている。

 北川が語る競技へのモチベーションは、確かに他のアスリートとは異なるが、それゆえに強い意志を持って臨んでいることも理解できる。

「自分の中では芸能界で活躍することが大きな目標なので、それに向かうにはやっぱり陸上で結果を残して『こんなに強いのに』というギャップを作らなきゃいけません。自分が強くなればなるほど、夢に近づいていくんだというのがモチベーションになって頑張れているのだと思います」

 いちアスリートとして結果を残した先に、思い描く芸能界での華やかな活動が待っている。厳しい道のりであることは否めない。ただ、彼女の中でふたつの道が繋がっているからこそ、批判もバネにして前だけを見て進めるのだろう。

<つづく>

#3に続く
「なぜ止めないんだ、の声は当たり前だと思う」全日本大学女子駅伝でチームメイトが意識朦朧…それでも大阪芸大の主将が語った「感謝の言葉」

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