- #1
- #2
箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「東農大が通るまで踊り続ける」TVに映らなかった“大根踊り”の真実…応援団を直撃「大根は2kg」「よくよく聞くと“婚活ソング”」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/01/02 13:47
大根を持つ応援団員。あの大根おどりを詳しく取材すると、意外な事実が…
驚くのはここからだ。箱根駅伝の応援に関して言えば、応援を披露できるのは往路・復路ともスタート地点とゴール地点の計4カ所。スタート地点は全校一斉に応援を開始するため大体の時間が読めるものの、ゴール地点は先頭の選手が見え始めてから東農大の選手が応援団の前を通過するまで、エンドレスに「大根踊り」を踊り続けるというのだ。
「持っている大根が1つ2kgくらいあるので、腕と肩、太ももにはかなりきますね。終わる頃には大根の葉っぱが吹き飛んで無くなっていることもあります」
そう明かしてくれたのは2年生の団員の坂入爽太さんだ。
上位で通過すれば余力を残して踊り切ることができるが、もし下位に沈んでいたら……。実際に2012年大会では、東農大で5区の山登りに抜擢された2年生・津野浩大が脱水症状となり大ブレーキ。トップの東洋大から遅れること41分17秒でゴールしたこともあった。
本当にハードですから、なるべく小さな大根を…
応援団の相談役を務める東京農業大学の中曽根勝重・准教授(国際食料情報学部国際農業開発学科)が明かす。
「当時は何が起きているのかゴール地点で応援している学生たちには分かりませんから、必死に踊り続けていたと思います。ただ流石に途中で連絡が入ってからは止めたはず。この時のようなことは稀ですが、『青山ほとり』は4番までやって大体1分半くらいですから、何十回も踊り続けるということはよくあります。本当にハードですから、団員たちにはなるべく小さな大根を選んで持っていけよ、と言っているんです」
傍目にはなんとも楽しげな「大根踊り」だが、実は体力勝負のハードな応援。前編で記した通り、腹筋、背筋、ダッシュなど、トレーニングに余念がなかった応援団の“ガチンコ”練習風景には理由があったのだ。