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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「東農大が通るまで踊り続ける」TVに映らなかった“大根踊り”の真実…応援団を直撃「大根は2kg」「よくよく聞くと“婚活ソング”」
posted2024/01/02 13:47
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Nanae Suzuki
第100回記念大会の箱根駅伝の舞台に帰ってきた名門・東京農業大学。10年ぶりの出場で注目を集めるのが、名物応援の「大根踊り」だ。いったいなぜ、手に大根を持っているのか? 実は超絶ハードなその踊りや、100年の歴史を持つ歌詞の謎を徹底解剖した。〈全2回の第2回/前編から読む〉
隣に嫌いな人がいると思って、しっかり蹴るように
『農大生 元気あるかい 苦しきときの父となり 悲しきときの母となり 楽しきときの友となる いざ歌わんかな踊らんかな狂わんかな 農大名物青山ほとり』
応援団長のこんな口上から始まる名物応援の「大根踊り」。その振り自体は、実にシンプルだ。「青山ほとり」を歌いながら、両手に持った大根を力強く突き出す。この時、左を向く時は左足を、右向きでは右足をしっかりと蹴り出すことがポイントだ。
「足が重要なんです。勢いをつけて蹴り出さないと上体が(後ろに)倒れない。倒れないと軸足の膝が曲がってしまうので、不格好になってしまいます。指導するときには、『隣に嫌いな人がいると思って、しっかり蹴るように』と伝えたりしています(笑)」
そう解説するのは、東京農業大学全学応援団の第92代団長・加藤俊弥さんだ。確かにこの体勢、実際に挑んでみるとなかなか辛い。足首を直角にして踵を蹴り出すと上体が後ろに20度ほどの角度で倒れるため、体幹がじわじわと締め付けられ、同時に太ももにも負荷がかかってくるのだ。
東農大選手が来るまで、踊り続ける
歌詞をつけながら踊ると、『青山ほとり常磐松』でこの体勢を4回、『聳ゆるタンクは我母校』でまた4回、と繰り返し、1番だけで計20回、それを4番まで繰り返すと80回の連続運動になる。