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「駅伝と司法試験、どっちが大変と聞かれることも多いですが…」中大で箱根駅伝3度出場→弁護士になった男が語る“スポーツ選手とキャリア”の問題点
posted2023/12/24 17:03
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Hideki Sugiyama
2度目の挑戦で「難関」の司法試験を突破
梁瀬さんは中大を卒業後、2010年に中大の法科大学院(ロースクール)に進み、最難関の国家資格ともいわれる司法試験に臨んだ。13年の最初の挑戦は失敗に終わったが、14年9月に2度目の挑戦で見事に合格した。
「1度目の受験時は合格に直結するような勉強に達していなくて、実際に合格の手応えはありませんでした。ただ、1度落ちたことで気づかされたことは多く、そこから試験合格に向けて自分なりに分析ができ、また、経済的にもこれが最後の受験だと集中して取り組むことができました。
2回目の受験に向けては勉強仲間にも恵まれ、先に合格した人にサポートしてもらえたことも幸いしました。両親をはじめ家族にもだいぶ心配をかけたと思います。勉強する姿をほぼ見せていないので、合格するとも思っていなかったはずですし、金銭的な余裕もなかったはずですが、ほとんど黙って応援してくれたのはありがたかったです」
2度目の司法試験に向けては、全国高校駅伝や箱根駅伝を目指し陸上競技を続けてきたことが活きた部分もあった。
「陸上競技をやっていた頃、高校生活では、指導者の指示に素直に従ったり、周囲の環境に順応しようとすることで、あまり考え込むことなく結果を出させてもらっていました。しかし、大学生活では、いろいろと手広く考え過ぎて失敗がちでした。
そんな経験もあって、2度目の司法試験に向けては、たとえば過去問分析など考えることを絞り、絞ったことにはひたすら取り組もうと思っていました。その年には陸上競技で成功したこと、失敗したことの両面を生かすことはできたと思います。それも今考えれば、勉強の王道にすぎないのかもしれませんが」